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どんくさいことを上手にする。

昨日は塾のバイトだった。
私の役割は、生徒が自習している教室を見回って、サポートが必要そうな子がいたら、声をかけること。

教室を見回っていると、最近塾に通い出した中学生の女の子の手が止まっていた。
「わからんとこあるー?」と声をかけると、
彼女は、英作文の問題を指差した。

3️⃣自分が上手にできることを、英語で書きなさい。
例)I can swim well.

困っていることを伺うと、「書く内容が思いつかない」とのこと。 
「こないだ、絵、描くん好きって言ってたよね、それはどう?」と聞くと、「好きではあるけど…」との返答。
どうも「上手に」という部分が引っかかっているよう。

そして、彼女は、ぽつりと「どんくさいことは上手にできるんだけどなぁ」と呟いた。

「どんくさいことを上手にする」
なんてお茶目で素敵な言い回しなんだろう。
思わず感動してしまった。

「それめっちゃいいなぁ、私も使って良い?」と聞いたら、その子はふへぇと笑った。

私は、不注意がかなり多い、どんくさい人間である。
私の不注意は、意識だけではカバーしきれないもののようで、
ミスしないようにと意識すればするほど、不注意が起こってしまったりする。
そういうときは、自分が情けなくてかなり凹む。

一方で、世の中には、「どんくさささえも愛嬌にしてしまえる人」もいる。
仕事でミスをしても、「なんかコイツは真剣に怒れないな」と相手に思わせるような。
(みなさんの周りにはいませんか?) 

私はそういう人を見ると、内心かなり嫉妬していた。
「そんなにあっけらかんとできるの、ずるい」と思っていた。
自分の好きじゃないところを他人に見せてしまった時、悪く考えすぎずにいることのほうが、難しいから。

でも、その人は、ずるいんじゃなくて、「どんくさいことを上手にしている」のかもしれない。

意識してもどうにもならない部分は、少し手放して、放牧させておいても良いのかもしれない。
もちろん、誠実ではあることは、ちゃんと手放さないようにしつつ。
自分の好きじゃないところを、そんなとこもお茶目だなぁ、くらいに思って、上手に生きられたら良いな。


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