無意識のよそ行きスイッチ
中学・高校では放送部に入り、生徒会長を務め、大学では放送研究会に入り、他のサークルや団体のイベントでもアナウンスや司会をするなど、芸能活動をされている方を除けば、私は人前に出る機会が多い方だと思う。
就職活動の一環で自分史なるものを作ったとき、改めて100人以上の人の前で話した回数を数えようとしたのだが、もはや数えきれなくなっていることに気付いた。
これだけ人前で話す機会が多ければ、友人から「就活の面接とかも余裕そうだよね」と言われたこともしばしば。
しかし、実際は非常に難しいものだった。
就職活動中、大学の就職サポートセンターが主催していたイベントでオンライン模擬面接をしていただいた。
基本的に面接でフィードバックがあることはないため、プロの目線でフィードバックをいただける模擬面接は就活生にとって数少ないチャンスである。
人前に出ることに慣れている故、オンライン面接においても基本的な事項はクリアしていた。
部屋の明るさ、カメラの角度、カメラからの距離、背景、服装、目線、姿勢、表情、発声、おおまかな内容。この辺りは特に問題ないのだそう。
問題は、「話し方が綺麗すぎて人柄が見えない」ことだった。
面接官役の方から、「アナウンスか何かやってました?」と聞かれ、「はい、アナウンスは放送部で少しやっていました」と答えると、「面接は、ニュース番組のアナウンサーじゃなくてバラエティ番組のアナウンサーのイメージで、自分らしく話してみると良いですよ」と言われた。
なるほど、テレビをよく観る私にとっては非常に的確な例えだった。
一方で、自分としてはアナウンスは意識せず普通に話しているつもりだったため、ニュース番組のアナウンサーっぽくなっているという自覚はなく、どう直せばいいものか全くわからなかった。
ただ、オンライン面接だったため、少しでもマイクに声が入るようにはっきり話す意識をしていただけだった。
おそらく、人前で話す経験を積みすぎて、意識をせずともよそ行きスイッチが入ってしまうのだと気付いた。
自分が話しているところを何度も録画して、客観的に自分の話し方を改善できるように練習してみたが、結局、就職活動中によそ行きスイッチがなくなることはなかったと思う。
改善くらいはされたと思いたい。
いや、改善されたからこそ内定をいただくことができたに違いない。
実は、このよそ行きスイッチ、話すこと以外にも、つい“ON”になってしまう場面がある。
それが、このnoteである。
今回のように、“だ・である調”で綴っているときはもちろん、最近は少なくなってきた“です・ます調”のときも、無意識によそ行きの言葉を選んでしまっている。
文字情報だけで誤解なく伝わるように考えた結果なのではあるが、中には、まるで友だちと・身近な先輩と話しているような感覚になる記事を書くクリエイターさんもいらっしゃる。
読んでいるときは楽しくて、夢中で読み切ってしまうのだが、読み終わったあと、「果たして自分にもあんな文章が書けるだろうか」と考えてしまう。
こんな私も、本日でnoteの投稿を始めた日からちょうど1年。
たくさんの素敵な文章と出合い、自分の想いを発信し、1年前には予想もできなかった今がある。
これからは、ときどき、よそ行きスイッチを“OFF”にした投稿もしてみたい。
それが例え無理やりでも、きっと面白い。
そのときの私の純粋な感性に従って、素直な言葉で、noteを続けていきたいと思う。
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