更年期症状ー指の痛み・変形
更年期の症状としての指の痛み・変形
高齢の女性の患者さんの指が曲がっているのを見たことはありませんか?
自分、母親、祖母、姉妹、友人、職場の同僚に、痛い、腫れている、こわばる、しびれがある、指が曲がっているという人はいませんか?
手の指のトラブルは女性にとって、とても身近なものです。
私がセミナーなどで更年期と手の痛み・変形についてお話をすると、セミナー後に「私の指が曲がっています」「母が曲がっていて不便しています」「シクシクと痛みます」と伝えに来てくれる方が多いのですね。
私の印象としては更年期症状の中で、ホットフラッシュ・肩こりとか以上に多いように感じています。
指の動作ができないと不便でQOLを低下させます。
包丁が持て無くなった(料理ができない)、雑巾が絞れなくなった(拭き掃除ができない)、重いものが持てなくなった(重い荷物の買い物ができない)、編み物ができない(趣味を楽しめない)、痛くて眠れない(睡眠障害)など多くの出来ないことにつながっています。
整形外科を受診しても「使いすぎ」「歳のせい」「我慢するしかない」と言われたという声も聞きます。
ようやく最近、指の痛み・変形は、エストロゲンの減少が原因とわかってきました。
診断がついても、治療して治るというところまでいかなくて多くの女性が辛い想いをしてきました。
診断としては以下のような病気があります。
リンクを貼っていますのでタップしてみてください。
ブッシャール結節以外は、手外科学会の代表的な手外科疾患の説明にリンクしています。症状、原因・病態、診断、治療についてリーフレットとして載っていますので参考にしてみてください。
ブッシャール結節に関しては、四谷メディカルキューブの手外科とはでの説明にリンクしています。
1)ばね指
指の腱鞘炎が進行したもの
2)ドケルパン病
手首の拇指がわに腫れと痛み
3)手根管症候群
拇指から中指までのしびれや痛み
4)ブッシャール結節
第2関節の痛みや変形
5)拇指CM関節症
拇指の付け根あたりに痛み
6)ヘパーデン結節
第1関節の痛みや変形
手外科疾患と女性ホルモンの関係
整形外科を受診しても「使いすぎ」「歳のせい」「我慢するしかない」と言われ、長い間我慢をしてきました。
医療者側からみても、なす術がなくて改善できずに、医師も看護者も心苦しかったと思います。
しかし、ようやくエストロゲンの減少が原因であることがわかってきました。
平瀬雄一著「私の手はなぜ痛いのか、しびれるのか、曲がっているのか」には次の図のように説明されています。
なぜエストロゲンの減少が関与するのか
下図の滑膜にはエストロゲンの受容体特にβ受容体が多く存在し、受容体にエストロゲンが結合することで、滑膜がスムーズに働くことができます。
ところが更年期や授乳期などエストロゲンの量が減少すると、滑膜に結合できなくなり滑膜の働きに支障をきたし腫れてきます。
この腫れが引かずに、徐々に変形していきます。
エストロゲンの作用、エストロゲン受容体について詳しくは下記参照
エストロゲンの正体
症状の原因がわかるだけで安心する方もいます。
もし医師からの説明がなければ、看護職から説明をしてください。
「原因がわかり悪いものではないなら、少し慢する」という人もいますし、治療が始まってもその作用を理解して継続することができます。
手指の病気の特徴
1)女性に多い
男性12% 女性88%
2)発症のピークは50歳代
3)4割が両手に症状がある
4)中指と薬指に多い
5)症状で多いのは「痛み」
6)60歳代から変形が始まっている
7)産後に指の症状があった人は更年期にもでやすい
8)母親に症状があった人は、自分も症状が出やすい
手指の病気の予防とセルフケア
上記特徴の
7)産後に指の症状があった人は更年期にもでやすい
8)母親に症状があった人は、自分も症状が出やすい
に当てはまる方
指を使う職業の方は予防をします。
なにか指が変、痛いと感じた方がいたら次のような予防策を伝えましょう。
指の変形を防ぐことができます。
1)エクオール産生菌を持っている方は、大豆製品を食べること
目安:納豆1パック、豆腐2/3丁、豆乳200CC
2)エクオールのサプリメントを飲むこと
エクオール成分が10㎎取れるもの
使っている発酵菌が明記されてるもの
3)指先までの血流をよくすること(冷やさない、温める、マッサージなど)です。
他にテーピングや装具を使う場合もあります。
セルフケアに関して詳しくこちらのコラムに書いています。
紹介して説明を加えていただければ幸いです。
手指の病気の治療
更年期における手指の症状に必要な鑑別診断は、関節リウマチです。
一度受診して検査を受けておくと良いと思います。
治療としてはいろいろあります。
1)エクオールサプリメントを使う
2)ホルモン補充療法を行う
3)鎮痛剤を使う
4)ステロイド剤の関節内注射
5)手術
などがあげられます。
1)は、最近は整形外科や婦人科を受診した際に、「ではまずは・・」ということでサプリメントを進められることが多くなりました。
ただサプリメントなので保険診療ではないので費用がかかります。
2)エクオールサプリメントが効かないときや他にも更年期症状がある時はホルモン補充療法をすることができます。
保険診療が効きますので、サプリメントより安くすむことがあります。
3)4)5)は専門の医師を受診して受けることが大切です。
専門医は 手外科学会で探すことができます。
もし、側に指の痛みを訴える方がいたら、以上のような情報を伝えてあげてください。
また、変形は順々に起こることが多いので、もう曲がったから仕方がないとあきらめるのではなく、次の指の変形を防ぐためにも治療の選択を勧めましょう
また、こちらでは
NHKエデュケーショナル 健康フォーラム
「治りにくい手指の痛み~女性ホルモンが原因?~」(2019年6月開催)
の動画を配信してくれています。
この記事は私が書きました。
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