真っ黒。漆黒。ダークマター。ブラックホール。なのに何故かキラキラしている。
今でも思い出すと「ああ〜…」とため息が出る。
高校、大学では演劇部だった。
巨体を揺らしながら、メガネをくもらせながら部活に勤しんでいた日々を思い出すと、いたたまれない気持ちになる。
高校時代は自分を全く客観視できておらず、監督やりたい、主役もやりたい、でも朝いつも遅刻するデブ。みたいなとんでもない奴だった。と今思い出して思った。とんでもねえな。
大学では部員が増えず、コミュニケーション齟齬が大いに起こる女の子と二人で、自作の二人芝居をやった。平田オリザに感化された芝居もした。途中でダイエットに成功しデブ卒業。モテ始め、変に自信がついてしまい、やりたいことを自己満で好き勝手やっていた。
正直、その頃の記憶はほとんど無い。いや、抹消した。
自分の振る舞いを思い出すと心臓がキュッとなるのだ。わかるでしょ?
まさに黒歴史。まじで真っ黒。底抜けに漆黒。全てを飲み込むブラックホールのような時代である。今でさえ、うっかりしっかり思い出したら足をとられてしまいそうな強烈な吸引力をお持ちである。
でも、それを取り巻く私の中のイメージは、なぜかキラキラしている。
詳細の記憶は抹消(しかしゴミ箱からいつでも取り出すことができる)しているが、残ったイメージはとても楽しく、まさに青春、汗が輝いてみんなが笑顔。
行動を客観視してしまうと、思い出すだけで息ができないのだが、きっとその瞬間、主観的にはとっても充実していたのだ。それはきっと事実なのだ。年を取るたびに、自分自身の言動を客観視してしまい、無我夢中で何かをすることができなくなってしまっている。ダサさ、イタさを気にしてしまい、失敗をおそれ、身動きが取れず同じことの繰り返し。黒くはならないかもしれない。でも、キラキラもしない。
当時はむしろ、色を混ぜすぎて黒くなってしまったのかも知れない。
今は、何色でもない。