その青年の歌は現代のキールタン
とは言いすぎだろうか?
いやいや、ずっともやもやしていたものがすっきりした。
藤井風の歌は、デビュー当時からヨガの教えをメロディーに乗せたものだと感じていた。日産スタジアムの無観客ライブでもオーム(マントラ=真言)を唱えていたし。
ヨガというのは体操だけではない。体操や瞑想はヨガの大切な要素だけど、「よりよく生きるための気持ちの持ち方、考え方」を生活の中で実践することそのものがヨガなのだ。
だからヨガ教室に行っていなくても、一生懸命生きている人は
ヨガをしている人。
よく「ヨガは宗教か?」と聞かれる。
仏教など多くの宗教のルーツではあるけど(お釈迦さまも最初はヨガの行者だったそうな)、今の社会でイメージの悪すぎる「宗教」と一緒にしてはいけない。
NHKの音楽番組で藤井風がルーツを語った。
「お母さんのお腹にいた時、そして生まれてから、”祝福”を受けに家族でインドに渡った」「今の自分を支えているのは精神的なことを大切にする両親の教え」
やはり両親がヨガ的な考え方、インド哲学などを人生の指針にしていたのだと思う。そして風は「そんな世界があることをみんなに伝えたい」とも。
それは「宗教」を超越した、よりよく生きるために誰もが自分の内に持っておきたい拠り所となる教え。壺など買わなくてもいい。ドネーション(寄付)の名のもとに、わけもわからず集金されることもない。誰かに強制されることはない。自分の人生の舵を取るのは自分自身。
キールタンとは、簡単に言うと、ヨガの教えや神への愛が織り込まれた言葉を繰り返し唱える讃美歌のようなもので、バクティヨガの修行の一つ。聞く人はその歌詞や旋律に癒され、ともに歌うことで解き放たれ、救われ、悟りに近づいていく。
藤井風の歌詞やメロディーを多くの人が聴き、歌うことで癒されている。
彼の歌は現代のキールタン、とは言い過ぎだろうか。
●最新曲 grace(恵み)
誰もが自分の足りない部分に目が行きがちだけど、
すべて自分の中に揃っている。自分はすでに満ち足りた存在。
つらいことがあっても、それまでもが自分にとっての恵み。
自分の中の自分はいつも輝いている。
そう思えるようになれば、悩みはなくなる。
でも、なかなかそう思えないのが人間なんだな。
その境地を目指したい。