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子どもたちから東京五輪を奪うという愚策・小さな教育情報

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上の記事は2021年8月9・16日「日本教育新聞」のコラムです。このコラムを読むと現場教員の落胆の声が聞こえてきて辛くなります。

いろいろなご意見があるのは承知していますが、私は無観客試合は愚策だったと思っています。百歩譲って無観客試合は許すとしても子どもたちの学校連携観戦は絶対にやるべきでした。

無観客でガラガラのスタンドなら、学校間のスペースを十分にとって子ども同士座席一つおきで完璧に安全に観戦できたはず。東京全校すべてバスをチャーターすれば移動だって安全上なんの問題もない。コロナ不況のバス会社だって助かったのではないでしょうか。 

私が現役のとき、射撃50mピストル・北京五輪8位入賞の松田知幸さんに来校していただき担任していた6年生にお話をしてもらったことがあります(当時、私のクラスにいた児童の叔父さんだったのです)。

この松田選手はワールドカップ等の国際大会では金メダルの常連選手でした(金メダルも見せてくれました。子どもからどよめきが起こりました)。子どもたちにとって射撃はかなりマイナーではありますが、オリンピアンである松田選手の話には尊敬の眼差しです。その目の輝きは忘れられません。

その人が「努力することの大切さ」「あきらめなければ夢はつかめる」「コーチとの出会いが自分を変えた」と語るのです。これ以上の教育があるでしょうか。

もう一つ。各地で行われるはずだった海外選手との交流も中止、変更されたようです。

これも私が現役のとき、横浜でアフリカ開発会議が行われました(現在も継続)。当時、勤務していた学校が「一校一国運動」でチュニジアの担当となりました。この時も6年生を担任していて、子どもたちと職員室前にチュニジアコーナーを作りました。

すると、なんとチュニジア大使館から本校を訪問したいという話が持ち上がり、この時も大使館の方にチュニジアについてお話をしてもらいました。

美しいチュニジアの町並みや風景の画像を見て、子どもたちは口々に「行ってみたい」と話していたことを思い出します。アフリカに対する認識は確実に変わったはずです。

今回の東京五輪の愚策はこうした最高の教育の機会をすべて奪ったのです。子どもたちの五輪体験は何ものにも代えがたい最高のレガシーだったはずです。

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