仮設の映画館、プリズンサークル、オンライン対話
今日から”仮設の映画館”で『プリズンサークル』の上映がスタートしました。仮設の映画館とは、STAY HOMEの状況で苦境にある映画館と映画コンテンツを救うための取り組みで、サイトに掲載されている好きな映画館を選んで、この企画と提携している好きな映画を見るというもの。映画はVimeoという動画サイトで見ることができて、料金は1,800円。なので自宅で複数人で見る場合は映画館へ行くよりもお得です。
『プリズンサークル』とは、島根あさひ社会復帰促進センター(刑務所)のドキュメンタリー映画。そこ行われている「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」と呼ばれる対話による更生プログラムに参加している受刑者や元・受刑者のプロセスを追う内容です。
私はというと、Points of You®︎の仲間が本日、それぞれの場所で映画を見てZoomで対話をするイベントを企画してくれたのをきっかけに、”仮設の映画館”と『プリズンサークル』を知りました。日頃、犯罪のニュースに触れて思うのは、加害者の心に寄り添う支援がなければ、自らの意思だけで更生していくにはあまりにも厳しい社会ではないか、ということ。『プリズンサークル』のHPを見て、対話による更生を実践している施設が日本にあることを知り、ぜひ見てみたいと思いました。
1. Zoomでアイスブレイク
今日の参加者は2名のファシリテーター含めて20数名。アイスブレイクはPoints of You®︎のカードを使って5名1組で行われました。テーマは「今の気持ち」。裏引きで私の手元に来たのは「Mediocrity 平凡さ」のカード。アイスブレイクの時にはこのカードにしっかりつながりきれなかったのですが、このカードを念頭に置いて映画を見ようと決めました。
2. 各自で映画を見る
せっかくなので、映画は夫と見ることにしました。”仮設の映画館”は初めてなので、映画館を選ぶところからワクワクしました。本当ならば出身地・高知の映画館を選びたいところなのですが、高知はすでに映画館がどんどん廃業してしまっており、選択できるものはありませんでした。というわけで、在住の埼玉県内の映画館をチョイス。映画の時間は136分でした。
映画を見ながら、「Mediocrity 平凡さ」のカードが常に頭にありました。後から思えば、アイスブレイクの時にカードと十分に繋がれなかったのは、カードの中に「自分」を見ていなかったから。私はわりと、Points of You®︎のカードを見る時に、写真の中に「自分」がいることが多いのですが、今回は、対話の場、安心して話せる場がなくて苦しんでいる人を写真の中に見ました。もやのかかった水の中で、見たくないものに目を閉じ、息を潜めて自分を殺している感じ。とても苦しい感じ。だけど、「この写真の1年後」はきっと、水の中から出て、目を開き、自分の意思で呼吸をしているのだと感じました。
3. Zoomで対話①
それぞれに映画を見終わり、Zoomに戻ってきました。最初の対話テーマは、「映画を通して感じた過去の私」。新しくカードを1枚引いて、4名1組で対話をしました。私が裏引きしたのは「Neglect 軽視」のカード。今度はすっとカードとつながる感覚がありました。写真の中の足は、私でした。
正直、映画を見終わった時に、私はこの後、対話で何を話せばいいのだろうと思っていました。言葉にならない思いがたくさん溢れていました。でも、カードのおかげで自然と言葉が出てきました。
過去の私は、自分を信頼する力が足りていませんでした。うまくいかないことを環境や周りのせいにしてみたり、とにかく文句が多かった。Points of You®︎をはじめ、さまざまなツールとそれに関わる人々が、そんな私の話をただ、聞いてくれました。少しずつ少しずつ、癒されていく自分を感じました。
今はわかります。人のせいにすること=自分を信頼していないこと。自分を信じているから、(意識的でも無意識的でも自分で選んだ)周りの人を信じることができるし、周りの人を信じているから感謝できるのだとわかりました。自分を信じていなければ、周りも信頼できません。それはつまり、どんな結果にも満足できない環境を自分で作り出していることにほかなりません。満足できないことをまた人のせいにして、誰も、自分も信頼できない負のスパイラルが続いていきます。
「Neglect 軽視」に写る足は、周りに文句を言うことで自ら「幸せ」を遠ざけていた過去の私。幸せを選ばなかった、過去の私。
4. Zoomで対話②
一度、Zoomの全体ルームに戻ってから、次のテーマは「映画を通して感じた未来の私」。新しくカードを1枚引いて、3名1組で対話をしました。私が裏引きしたのは「Initiative まず始める」のカード。
映画で対話のパワーを感じた後の対話は、ものすごくパワフルに感じました。相手の話を聞くことで自分の中に蘇る古くて新しい感覚を、より一層、感じられたように思います。このカードを引いたとき、直感的に「いいカードを引いたな」「何を始めようかな」と考えました。でも、他の人の話を聞きながら自分の中に湧き上がってきたのは、少し違う言葉でした。
「未来の私」というテーマについて、コロナ禍でSTAY HOMEを長らくしていて感じていたことともリンクしました。自分の身近にいる人を感じて、大切にして、感謝を伝えていきたい、ということ。忙しすぎた過去は、どこか地に足がついていなくて、大きなことばかり考えすぎて、周りの人を大切にできていなかったような気がしています。今、改めて、身の回りの身近にいる人々を大切にしていきたいと思っています。
5. ポージング&クロージング
再び全体ルームに戻り、ここでポージングの提案がありました。ポージングとは、Points of You®︎の大切なメソッドの一つで、自分とつながるためにニュートラルになる時間をとることだと私は理解しています。音楽が流れ、目を閉じて、映画を含めたこの数時間に思いを馳せました。涙がボロボロこぼれました。あとから、曲はアギレラの『Beautiful』だと教えてもらいました。それぞれの持つ美しさを最大限に発揮できる世の中になるように、自分ができることをやっていこう。そんな気持ちになりました。今日は、収束のためのポージングという感じがしました。良い時間でした。
たくさんの涙を流し、なんとなくピュアな自分に戻ったような感覚のところに、クロージング。「ワンワード、長くてもワンフレーズ」を一人ずつ言って終わるやり方は、Points of You®︎ではよく取り入れられる方法です。私は「愛」と言いました。みんなが感じてきたことは細かくはわからないけれど、一人ひとりのワンワード、ワンフレーズに、大きな優しさを感じずにはいられませんでした。
映画館や映画に貢献する、家族と一緒に映画を見る、Points of You®︎ Tribeと対話する、自分を見つめ直す…この企画にはいろんな要素がギュッと詰まっていて、でも、内容はいたってシンプルで。美しい場でした。企画のコウスケさん、れいちゃん、ありがとうございました!対話の重要性を改めて感じるとともに、対話のツールとしてもパワフルなPoints of You®︎には、まだまだやれることがある。対話の持つパワーをいろんな角度から実感した土曜日でした。
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