21/08/15|言葉に依存しない表現は国境を越える
アリゾナ現地時間で8月14日、国際ホラー&SF映画祭のコンペ部門に上がっているSF作品とホラー作品を一つずつ、今日は見てきました。
▼SFコンペ部門「The Shasta Triangle」
カリフォルニア州シャスタ群で起こる失踪・怪奇事件を扱った物語。ちょっと衝撃的だったんですけど、怪奇事件ものもジャンルとしてはSFになるんだ…???日本だとオカルト系はオカルト映画として確立していたような気がしたので、ここでSFというジャンルに分類されていることに少し驚きました。
謎を解くための本(小道具)や怪奇現象を表現する音の作り込みがなかなか良く、事件が起こる森も不気味ではあったのですが「ちょっと行ってみたい」という気持ちにさせる不思議な作品でした。実際にそういう怪奇現象があるのかどうかは判りませんでしたが…
▼ホラーコンペ部門「A Comedy of Horror, Vol.1」
トレイラーがFacebookにしかなく、ここに載せられなかった…!超残念!
4、5歳くらいの子供たちに怖めのおばさんがお話の読み聞かせにやってくるところから始まるのですが、そのお話が短編5本くらいになっていて、それぞれ違ったホラーコメディを味わえるという作品。なかなか構成も演出も秀逸でした!いかにもB級作品という感じの味わいがまた、日本だと「未体験ゾーンの映画たち」的な空気も感じられてとても面白かったです。
特に私が好きだったのは、最初の「The Crown Town」というピエロの住人たちが暮らす街で起こる殺人事件の話。ピエロたちの動作にいちいちコミカルなSEがついてくるんですが、でもシーンは猟奇殺人の超シリアスな画面で…、という、どういう感情になったら良いか分からない笑い盛り沢山な作品でした。これも日本でも見れたら楽しいだろうになー。
Filmmaker Passを見て話しかけてくれた男子映画学生
1本めの映画を見終えて、映画館の外のベンチでPC作業をしていた時、黒人の20代前半ぽい男の子が話しかけてきました。
「あなたはどの作品の監督?」「それはどんな作品なの?」「監督して脚本も書いてる?」「他にどんな役割(Pとか撮影とか編集とか)をやってた?」「映画を作るときに大事なことは?」「あなたは監督をやって脚本もやっているけど、もし脚本しかやらない立場だったら、どうやって自分の脚本を売り込む?」
彼はここで映画制作を学んで脚本を自分で書いているらしく、とにかく色んなことを質問してきてくれました。お陰様でカイのQ&Aの良いウォーミングアップにもなった。笑
中でも印象的だったのは、「自分のアイディアが誰かにコピーされるのをどう防いでいるか?」という質問。
質問そのものに対する答え(防御策みたいなもの)は持っていなかったので少し答えを変えて「私はいつも自分オリジナルのアイディアがないか探しています。たくさんのニュースを見て、たくさんのことを考えて。それと、私は自分の脚本の中には、私しか書けない会話・キャラクターがあると信じてる。あなたもそれを信じて」的なことを返しました。彼は「そうね…」と少し考えて納得してくれたように見えました。勉強している最中だと、教える人の考えや周りの生徒の考えにも影響されて、自分を信じられなくなる瞬間があるんだと思います。私との会話で何か影響があったかはわかりませんが、日本でも外国でも、学生さんにはもっと自信を持ってどんどんトライアンドエラーしてほしいなと。しみじみ。
もうひとつ、これは彼に伝えきれなかったことですが、私は自分の考えていえることや企画がもしパクられたとしても「私と同じ思考を持つ人間はいない=必ず違う物語になる」と考えています。なんなら、似た企画の違う物語が同時多発でたくさん産まれた方が、エンタメの多様性も保たれますし、見る側の思考も偏らなくて健康的なんじゃないかと。だから、多様な物語を描く仕事をこの先担うかもしれない人間として、彼にはその点自信を持って欲しかった。
あの時はあまりたくさん話せなかったですが、もし来週末のパーティー等でもう一度話すチャンスがあれば、今度はこのことを伝えたいですね。
いよいよ、『12ヶ月のカイ』ワールドプレミア上映…!
そしてついに、8月15日(現地時間)は『12ヶ月のカイ』上映初日です。QAも気にはなりますが、何よりもお客様の上映中・上映後の反応がどんなものか…!日本人の長編作品は『12ヶ月のカイ』しかないので、私もお客様も気になることだらけな上映になることでしょう。QA15分じゃ足りないのでは…??笑
上映は午後からなので、昼にJCCの前島さんと合流してランチミーティングをして、会場に入ります。そうそう、私真面目だから、ちゃんと会場のお客様に配る用の鑑賞アンケートの紙も日本から持ってきたんですよ!
QRコードを読み込めば、Googleフォームで事前に作っておいたアンケート画面に飛べるようになっています。日本での初上映が9月にあること、アリゾナの皆の感想が超重要になることをQA後に伝えて、なるべく多くの感想を拾えるようにしたいと思っています!
あまりお土産を持って帰れない状況である代わりに、一人でも多くのコメントを日本に持って帰りたいですね。
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