長文タイトルには致命的弱点がある!(付ける前にメリットとデメリットの比較を)
昨今、ウェブ小説の世界では長文タイトルが増えています。
タイトルが長文化すれば、そのタイトルの中で物語の概要を説明できますので、初見の読者を引き込むには便利なのかと思われますが…
この長文タイトル、実は致命的な弱点があることに、どれくらいの方が気づいていらっしゃるでしょう?
それはズバリ「タイトルからの検索がしづらい(検索されづらい)」ということです。
そもそも人は、それほど長くない小説タイトルだとしても、あるいはベストセラーになっている有名な小説のタイトルだとしても、正確に記憶できていないことが多々あります。
少し前には、福井県立図書館で、そんな「覚え違いタイトル集」が話題になり、書籍化されたりもしていますが…↓
短いタイトルでさえこの有様なのですから、タイトルが長文化すれば当然、正確に記憶するのはさらに難しくなりますよね?
図書館であれば「ひょっとして〇〇じゃなくて××じゃないですか?」と正解の本を出してくれるかも知れませんが、小説投稿サイトにはそんな「正解を出してくれる人」は存在しません。
それどころか、小説投稿サイトの検索機能は大概の場合、1文字でも入力を間違えれば、検索結果0件で終了です。
また、小説投稿サイトでは、たとえタイトルの「読み(音)」を正確に覚えていたとしても、表記の違いで検索結果が出ないということもあります。
実際、自分も引っかかったことなのですが…
記憶(タイトルの読み)は間違っていないはずで、そのサイトには確実にその小説があるはずなのに、どうしても検索結果に出てこない、ということがありました。
なぜその時、検索結果が出て来なかったのかと言うと…実はその小説、タイトルの一部が『 』でくくられていたのです。
その『 』の有無だけで、もう検索結果が出て来なかったのです。
そんな状態ですので、おそらくは「漢字とひらがなの違い」「送り仮名の違い」「句読点の有無や位置」等々によっても、検索結果は出なくなることでしょう。
タイトルが長文化し、複雑化すればするほど、そんな「表記違い」の可能性もまた増えるのです。
長文タイトルには、それだけのリスクがあります。
よほど熱烈にその小説を読みたがっている読者なら、何とかしてその小説を探し出そうとするのかも知れませんが…
「ちょっと気になったから検索してみた」程度では、検索結果が出て来なかったら、その時点で読むのを諦めてしまうのではないでしょうか?
(そもそも、頑張って探しても、どうしても検索結果に出て来なければ、読みようがないわけですし…。)
実際、自分も「この小説、気になるけど、今は読むヒマが無いから、タイトルを覚えておいて後で検索しよう」と思っていた小説が二度と見つからず、読むのを諦めたという経験があります。
(自分の場合、出先でスマホで小説サイトを見る時は、大概「ログアウト状態」で見ている(アプリなども使っていません)ので、「お気に入り」や「ブクマ」は使えません。また、当時は自分の記憶力や投稿サイトの検索機能(検索能力)を過信していた(←ウェブ小説自体に慣れないうちは、こういう人、結構多いのではないかと)、というのもあります。)
また、最近のウェブ小説には類似タイトルが多く、その「似て非なる別の小説」に惑わされてしまうことも多々あります。
「確かこんなタイトルだった」と思って「うろ覚え」で開いた小説が、実は全然別物だった…ということが、結構あるのです。
(…それもこれも、そもそもタイトルが長過ぎて、その中にある「特徴的なキーワード」だけしか覚えていないせいなのでしょうが…。)
長文タイトルには、確かに「タイトル自体が小説の概要説明になる」というメリットがあります。
しかし「検索しづらい・されづらい(タイトルを覚えてもらえない)」というデメリットもあります。
作者の方は、そのメリット・デメリットを両方見極めた上で、タイトルの付け方を考えた方が良いのではないでしょうか?
(タイトルで初見の読者をどんどん引き込めて、お気に入りやブクマしてもらえる(←ここが重要)自信があるなら、メリットの方が大きいとは思います。逆に、お気に入りやブクマなどでマークしてもらえなければ(あるいはランキングなどの目立つ場所に露出し続けられなければ)、見失われて二度と見つけてもらえないリスクが高いのではないかと。)
おそらく、そうやって「検索できなかったがために、読むのを諦めた」読者が、この世には相当数存在するものと思われます(実際管理人もその一人ですし…)。
しかし、その人数はアクセス数にもPV数にも反映されないため(何せ、その小説にたどり着けていないのですから)、作者にも(おそらく運営さんにも)把握されていないのではないかと…。
いつの間にか失っている読者の数…それが一体どれだけの損失になっているのか…ひょっとすると、作者の方も、運営さんも、その「ロス」の存在に気づいてすらいないのかも知れませんね…。