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「アクション(評価)のしやすさ」と「不正防止」のジレンマ
(投稿サイトで)小説がヒットするまでには6つの壁がある、その6つ目の壁が「アクションの壁」だ…ということを、以前の記事で書きましたが…
この「アクションの壁」、投稿サイトの機能やシステムによっても厚さ(高さ)が変わります。
皆さん、気づいていましたか?
作品に星をつけたり、感想をつけたり、ブクマやお気に入りなどのアクションをするには「アカウントが必要」だということを…。
過去記事で紹介したスターツ系投稿サイトの「ひとこと感想」のような例外もたまにありますが…
ほとんどの場合、そのサイトのアカウントを持ち、なおかつログイン状態でないと作品へのアクションはできないのです。
そしてほとんどのサイトでは、読者のアクションがポイントや順位に大きな影響を及ぼします。
(極端な場合だと、小説閲覧でつくポイントが(何ページ読んでも)7pなのに対し、感想1件orお気に入り1件が数百pというサイトもあります。)
これがどういうことか、お分かりでしょうか?
つまりは、アカウントを持たない「ファン」をどれだけ集められたとしても、なかなか数値や順位は伸びないということです。
さらに言うと、アカウントを持っていてもログインしていなければアクションはできません。
アカウントあるあるで、一度登録したものの、それ以来ほとんどログインしていない「休眠アカウント」って、ありますよね?
そういうアカウントって、ログインパスワードやIDも忘れてしまい、ログインしたくてもできなくなる…なんてことになったりしませんか?
そうやってログインできなくなってしまった読者も、やはりアクションすることはできないのです。
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■サイト「内」ウケが良い作品だけが上がっていくことのデメリット
今まさにログインしているユーザーしかアクションできない…この仕組みにどんなデメリットがあるか、分かりますか?
それはズバリ、サイト内部でウケの良い作品ばかりが順位を上げ、それ以外はたとえサイト外部の人間に好かれる作品だとしても、なかなか上に上がれないということです。
皆さん、投稿サイトのランキングを見て「なんだか似たようなジャンルばかりだな…」と感じたことはありませんか?
その印象は、おそらく間違っていません。
それはすなわち、サイト内部でウケているジャンルが「それ」だということなのです。
「ログインユーザー」がアクションしている作品が、そういうジャンルの作品ばかりだということなのです。
実際、以前とあるサイトの新着作品をモニタリングしていた際、「恋愛系」ジャンルの作品にはどんどん「お気に入り」がついていくのに、それ以外のジャンルには全くつかない…という状況を見たことがあります。
しかし、サイト外部…たとえばアニメやマンガなどの他コンテンツに目を向ければ、恋愛以外のジャンルでもちゃんとヒット作が出ていますよね?
異世界でもファンタジーでもない、むしろリアル寄りで現実が舞台の内容でも、話題作になったりしていますよね?
もちろん異世界ファンタジーも恋愛系も、人気ジャンルの1つではあります。
ですが投稿小説の外では、それ以外のジャンルもちゃんとヒットしているのです。
むしろ投稿小説の外の世界は、ジャンルも作風も百花繚乱。バラエティーに富んでいます。
以前から、この投稿サイトの「内」と「外」との差が不思議だったのですが…
それはログインユーザーしかアクションできないという、サイトの「仕組み」によるものなのかも知れません。
小説投稿サイトという狭い世界の中(しかもログインユーザー限定)だけでウケる作品は、果たしてサイトの外でもちゃんとウケるものなのでしょうか?
今は良いとしても、いつの間にかガラパゴス化して、他コンテンツから取り残されたりはしないでしょうか?
サイトの「内」と「外」との「ズレ」に気づくたび、いつもそこが心配になります。
「内」と「外」での「人気のズレ」が激しくなると、サイト内でどれだけ高い順位を獲得できたとしても、サイト外に出れば全くウケないことになります。
苦労して1位が獲れても、それはサイト「内」でしか通用しない「井の中の蛙の1位」…それって、恐ろしいことだと思いませんか?
■「誰でもアクションしやすい仕組み」は「不正」も生みやすい
ここまで読んで「だったら、アカウントを持っていなくても、誰でもアクションできるようにすれば良いじゃないか」と思った皆さん…
おそらく事はそう単純ではありません。
なぜなら「誰でもアクションできる」ようにすると、不正もしやすくなってしまうからです。
アカウント持ちで、なおかつログインしているユーザーなら、運営さんもその動向を把握しやすいかと思われますが…
ログインしなくても、どの場所・どの端末からでもアクションできるとなれば、それが本当に「読者」のアクションなのかどうか、判別できなくなってしまいます。
残念ながら、世の中は清く正しい人間ばかりではありません。
「偽のポジティブなアクション」で自作品の数値・順位を上げようとする作者もいるでしょうし…
逆に他の作者を貶めるために「偽のネガティブなアクション」をする人間もいることでしょう。
多くの運営さんが「ログインしなければアクションできない仕組み」を取っているのは、こんな不正を防止するためなのではないかと、勝手に推測しています。
(不正が横行すると、順位もポイントも意味がなくなり、全く信用できないものになってしまいますから…。)
…ただ「これで不正対策は万全」というわけではありません。
サイトのガイドラインなどを読むと「複数アカウントの所持」を禁止事項に挙げている所がありますが…
それは翻せば、そうやって複数アカウントで不正を働くユーザーが存在するからなのではないかと…。
不正を働きたい人間は、どんなに対策を巡らせてもどうにかして不正を行ってくるものなので、100%防ぐのは不可能なのでしょうね…。
■幅広い層がアカウントを持ち、アクションをしたがる施策があれば良い
小説投稿サイトのユーザーをめぐる問題で、何が一番マズいかと言うと「アカウントが無くても小説が読めてしまうこと」です。
実際に自分が過去「アカ無し読み専」だったから言うのですが…
アカウント無しでも普通に小説が読めてしまうのに、わざわざ入力フォームにちまちま情報を打ち込んで、IDとパスワードを管理して…なんて面倒くさいこと、なかなか人はやらないのではないでしょうか?
自らも小説を書くようになった今は、読者のアクションがいかに大切かが分かるようになりましたが…
「書き手」の視点を持たない「読み専」の頃は、なかなかその重要性が分からず…そもそも「アクションに何の意味があるのか」自体、理解できていなかったのです。
アカウントユーザーを増やすには「アカウントを持つこと」に魅力やメリットが無ければなりません。
「アカウント持ちだけの特典」や「アカウントが無ければできないこと」がなければ(そしてそれが魅力的でなければ)、なかなか登録する気にはなれないのでしょうか?
現在のように特定のジャンルに偏ったユーザー層だけでなく、幅広くユーザーを集めるためには、そのあたりを見直していかなければならないのだと思います。
さらに言えば、アカウントを持ってもらっても「アクションの意義」が伝わらなければ、なかなかアクションはしてもらえません。
「自分1人くらいがアクションしたところで、何になるって言うんだ」と思われていては、なかなかアクションには繋がりません。
(実際にはその「1人のアクション」が「次」のユーザーの勇気を導いたりするものなのですが…。)
また「自分の言葉で文章を書かなければならない」「それが作者や他の読者に読まれる」など、ハードルが高ければ高いほど、アクションしてくれる人は少なくなります。
そのあたりの「アクションの意義を伝える」「アクションのハードルを下げる」ことも必要になってくるでしょう。
機能やシステム、施策については運営さんのお仕事なので、作者個人にはどうにもできないのですが…
そんな機能やシステム、施策を広く読者に伝えて知ってもらうこと、アクションの意義を訴えることなら、作者にもできます。
現在の小説投稿サイトに「息苦しさ」や「報われなさ」を感じているなら、行動してみる意義はあるのではないでしょうか?
ちなみに過去記事で既に紹介していますが、アカウント(&アクション)のメリットを伝える施策にはこんなものが…↓
アクションのハードルを下げる取り組みにはこんなものがあります↓。