九頭龍大神は龍蛇族日本人の祖②
今回はホツマツタヱ等における九頭龍大神です。ホツマツタヱでも後半は神あがりするといっても、悪者にされています。今は篤く崇敬されていますが、貴種流離の原点ともいえる哀しみを感じます。
1、ホツマツタヱでの九頭龍
偽書と言われる「ホツマツタヱ」なので鵜呑みにはしないのですが、重要なヒントがあるので見ていきます。九頭龍と八岐大蛇となったモチコさまハヤコ様の概要を抜粋させていただきます。引用先は概要欄にあります。https://gejirin.com
1、ホツマツタヱでの九頭龍はマス姫モチコ、八岐大蛇はコマス姫ハヤコ。
マス姫モチコ。モチオロチ。 クラキネの娘で、ハヤコの姉。 アマテルの典侍スケキサキで、ホヒを生む。 大祓詞のハヤアキツ媛ではとのこと。スサノヲとの不倫事件で解任され、コクミ・シラヒトのいるヒカハへ出奔。 そこでヤマタノオロチとなり、スサノヲらによって退治されるが、そのねじ曲がった霊は九頭の蛇に転生し、アマテルの内后セオリツ姫への恨みをはらさんと、蝦夷白竜の岳に機会を待つ。 外ヶ浜の善知鳥安方に現れ、シマツウシにより憑依する蝕霊(ハハ)が斬り離される。すると越の洞穴を掘り抜けてシナノに逃げる。そこでついにトガクシにより霊断ちされ、戸隠神社の九頭龍社に祀られる。
コマス姫ハヤコ。 クラキネの娘で、モチコの妹。 アマテルの北局(きたのつぼね)の内侍(ウチメ)。 のちの宗像三女神、タケコ・タキコ・タナコの母。 大祓詞のハヤサスラ媛。スサノヲとの不倫事件で解任され、コクミ・シラヒトのいる斐川へ出奔。 ヤマタノオロチと化して、スサノヲに斬られる。 スサノヲはこれを「連り天引(つかりあびき)」のヤスカタ神として祀ったため、後にイハナガ媛として転生する。
瀬織津媛への恨みからモチコ様は九頭龍と化してしまったとのこと。ただ、すべての記録は一方向からのものとすれば、ホツマツタヱですら男神アマテル様側の書であります。私の感覚としては瀬織津媛も九頭龍側と思っています。なぜなら、罪穢れを祓う大祓詞に瀬織津媛も入っているからです。
九頭龍と言われるモチコ様=ハヤアキツ媛。八岐大蛇と言われるハヤコ様=ハヤサスラ媛。伊吹度主。そして瀬織津媛。この四神が祓大詞の祓戸四神です。瀬織津媛はアマテル様の単なる正妻という立場ではなく、もっと根元的な地母神、悪者にすらできなかった存在ゆえの描かれ方ではないでしょうか。
妄想すれば、ハヤコモチコ様の母かもしれません。となると、宗像三女神の祖母となります。また、モチコハヤコの御子の父はスサノオと思います。そしてモチコハヤコ様の母が瀬織津姫だとしたら、瀬織津媛こそが本当の天照皇大神となりませんか。
男神を女神に変えた、となにかと悪者にされる持統天皇ですが、名前は守るために隠し、本当の女神に戻したのではないでしょうか。なぜなら、滋賀県三井寺金堂の近くには天智・天武・持統の三帝が産湯に用いたという三井の霊泉があります。この泉に九頭龍が住んでおり、年に十日、夜丑の刻に姿を現わし、金の御器によって水花を金堂弥勒に供えるので、その日は泉のそばに参ると「罰あり、とがあり」といわれ、何人も近づくことが禁じられていたという話が伝わっています。持統天皇は明らかに九頭龍と関係がある。そこはまた違う動画にするつもりです。
2、オロチの娘たち、宗像三女神の流離い「善知鳥」とは
ホツマツタヱでは、 スサノヲとモチコ・ハヤコの不倫に気づいたセオリツ姫によって、三女神とモチコ・ハヤコはウサ宮のアカツチに預けられます。モチコ・ハヤコが逃げたため、セオリツ姫によって派遣された宗像のトヨヒメ姫アヤコによって三女神は養育されます。その後三人はは自らの意志でしばらく流離ったとあります。その後はそれぞれ結婚し御子を産みます。
長女タケコ=タキリ姫 (多紀理姫=オキツシマ姫 (奥津島姫・瀛津嶋姫) はクシキネ(オホナムチ)の妻でクシヒコ=コトシロヌシ、タカコ=タカテルヒメ、ステシノタカヒコネ=アジスキタカヒコネを産む。
次女タナコ、 イチキシマ姫(市杵嶋姫命)=イツクシマ姫(厳島姫)。 イフキヌシの妻。 イヨツヒコ・トサツヒコ・ウサツヒコを産む。
三女タキコ、タギツ姫 (湍津姫) ヱツノシマ姫。サカムエノシマ姫(相模江ノ島姫)。カグヤマツミの妻となりカゴヤマを産む。
三女神は死後「イトウ=ウトウ(善知鳥)神、と呼ばれます。青森県の安方「善知鳥神社」にはヤスカタ神となられた母、ハヤコがいたそうです。
罪を得た、と言われる母たちと離れた三女神の流離いは「善知鳥物語」として伝承されたとのことです。簡単に「善知鳥物語」を説明しますと、能の演目のひとつでウトウという鳥を殺して生計を立てていた猟師が、死後亡霊となり生前の殺生を悔い、そうしなくては生きていけなかった我が身を嘆く物語、です、ウトウは、親が「うとう」と鳴くと、子が「やすかた」と応えるの鳥とのこと。
この物語には一切宗像三女神や九頭龍のことは出ていません。ホツマツタヱを信じれば、ウトウ神となった三女神を、その母であるヤスカタ神のハヤコ様が呼ぶ、それを鳥に仮託した物語と言えます。まさに子を呼ぶ呼子鳥です。ふと、「鳴いて血を吐くホトトギス」が浮かんできました。
九頭龍と八岐大蛇となったモチコ·ハヤコの姫二人は、自分とその一族を守るためには、特に我が子を守るためには闘いたくないのに闘わざるを得なかった、辛さ悲しさが滲んでいるような気がするのです。母となれば我が子のために鬼にも蛇にもなる、それが業や罪と言われ、地獄や黄泉に堕ちるのならそれでも構わない。イザナミ様と同様にケガレを引き受け、抱きしめた女神たちを思い、代受苦という言葉が浮かびました。代受苦とは、仏や菩薩が、慈悲の心から、衆生の苦しみを代わりに受けることで、菩薩の大慈悲心について言います。中でも特に地蔵菩薩ですが、イザナミの本地が地蔵菩薩とも言われているのです。同様に祓戸の四神、根の国の奥底でうろうろと日本の衆生の罪とがを消そうとしている、ハヤサスラ媛。ありがたいです
高志の沼川(奴奈川)媛=タケコ=たぎりひめ奥津島媛
九頭龍は巨大な龍であったことから、戸隠山が九頭龍の頭、妙高山「関山神社」が胴腹、尾は越の能生「能生白山神社」に達していました。この事から、関山神社には胴中権現、能生白山神社には尾先権現がそれぞれ祭られたと伝えられています。
尾があったという越の能生で産まれた、糸魚川ヒスイの女王、ヌナカワ媛との関係もでてきます。ホツマツタヱと合わせると、オオナムチと結婚した宗像三女神のタケコ様とヌナカワヒメは同体で、コトシロヌシ、タカテルヒメ、アチスキタカヒコネ(鴨大神)を生んだことになります。アチスキタカヒコネがタケミナカタトミと同体と思います。
調べると、ヌナカワヒメの母上の名前が「黒姫」だとわかりました。すると黒姫=黒龍=九頭龍なのですね。
新潟から長野へ、三つの黒姫山があります。新潟県糸魚川の黒姫山、 新潟県柏崎市の刈場黒姫山、長野県信濃町の黒姫山。この辺り一帯が黒姫信仰の本拠地と思われます。
古事記、日本書紀共に黒姫は出てくるのですが、古事記での黒姫を紹介します。
黒媛は吉備の海部直(あまべのあたへ)の娘で容姿端麗であったために都に召され,仁徳天皇の寵愛を受けていましたが,皇后の嫉妬にあい山形の地へ帰されました。 その黒媛を慕って仁徳天皇がわざわざ草深い山形まで行幸されたという物語があります。ここでのポイントは、黒姫の出身が東北の山形ということと海部氏の娘、ということ。海部氏と尾張氏は同族では、とのことと尾張氏と葛城氏は非常に近いまたは同族の関係なので、尾を割られたヤマタノオロチ(九頭龍)は葛氏の葛龍とも書くと考えて齟齬はないと思います。
九頭龍権現の霊験「梨と歯痛」
九頭龍大権現は、梨を供えると歯の痛みが治る霊験があるのはなぜか、ということについて。梨の別名として「中白」「甘し」があるとのこと。「中白」は白山神またはおしら様との繋がりからと思います。「甘し」からは海人(あま)や海部氏と深く関係があると導きだされるのではないでしょうか。
「歯痛が治るのか」について。九頭龍は水の神様ミズハノメでもあります。ミツハノメと関連してくる第18代天皇の反正天皇、和風諡号が多遅比瑞歯別天皇と言いますが、この天皇の歯が白く大きかった、という逸話から来ているのではないでしょうか。ちなみに反正天皇のお母様は葛城の「磐の媛」葛城ですし、名前もタキコ様がお産みになった「磐長媛」に似ていますね。
一番重要なことは、九頭龍=八岐大蛇が宗像三女神の母であるということだと思います。オキツシマ媛であるタケコ様が祀られた琵琶湖の竹部島には「黒龍堂」があります。黒龍とは九頭龍=八岐大蛇のことなのでお母様をお祀りしていることがわかります。そして八岐大蛇の尾から産まれたのは三種の神器のひとつ、天叢雲剣。つまり天叢雲剣とは宗像三女神そのもののこと。九頭龍(ヤマタノオロチ)、この日本の龍蛇族の正当なる血脈のこと。そして天叢雲の親は天香山命。ここで「かぐ」がでてきたのでかぐや姫もその血脈と考え得るのではと思います。
また、九頭龍と同体である高おかみの神は、イザナミがカグヅチを産んで亡くなり、そのカグヅチをイザナギが切った時の血から産まれています。カグツチの血、血脈ということを暗示していたのですね。
最後に、かごめ唄のカゴの中の鳥は宗像三女神と思います。鶴と亀で鶴亀、剣のなかから産まれたのは宗像三女神、トリとはギリシャ語で三。
シンクロポイント三鳥
神職の家紋に多い三柏はカシワが鳥のことなので三鳥。実家の家紋です。磐之媛も御綱柏(みつながしわ)を取りに行ったとの記述あり。
↓下動画の台本ですが、少し変更があります(^^;
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