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日本人にとってのパン
僕にとっての日本のパンは「笑顔」だと思います。 ここでは小麦が身体に及ぼす影響の話しは置いておきます。
パン職人になって8年になります。僕の働いてるお店は「ソフト系」パン屋です。
8年の間で気づいたことがあります。それは、柔らかいパンは老若男女、小さい子供からお年寄りまで皆大好きということです。よく考えてみるとおそらく飲食店では「パン屋」だけだと思います。(レストラン以外)
お客さんに「いつも美味しいパンありがとね!」なんて言われるととても嬉しいです。パン作れるようになって良かったなぁと思う今日この頃です。家族や、カップル、老父婦、テラスで食べてる様子を伺うと皆笑顔で食べてくれてます。
東洋医学の考えでは、小麦は精神を落ち着かせリラックスさせると仰ってました。
その方面からの「パン」を考えたことがなかったので、何かとても腑に落ちました。
そして日本人は外国から入ってきたものを日本流にするのがとても得意な人種ではないかということです。
日本の「フランスパン」はフランス人が食べると柔らか過ぎてこれはフランスのパンではないと言うらしいです。これも日本人に合った硬さにしたのかと思います。もしかしたら、先祖代々続くご飯の柔らかさが「基本」になっているためかもしれません。
戦後は十分な食べ物がなく、外国からやってきた小麦で作ったコッペパンが学校食で出るようになりました。当時は学校食も貴重で、風邪で休んだ子どもには給食の余りものを家に届けていたらしいです。そしてコッペパンは、風邪の子どもが少しでも栄養がつくようにと油で揚げ砂糖をまぶして家に届けていました。これが「揚げコッペ」の始まりと聞いております。
こうして、今日まで日本流に変えて色々なパンが生まれて人々に愛されてきました。
また、粉の配合レシピを見ても先人達の凄さがわかります。失敗して失敗して失敗してここまで辿り着いたと思います。そんな先人達には感謝しかありません。一概に、パンは身体に悪いからやめた方がいいよ!なんて言えません。
東洋医学も何千年も昔に中国から入ってきて、日本人の身体に合うように先人達がトライアンドエラーの連続で試行錯誤しながら生み出した結果が今に至るようです。
日本人ってすごいですね。
ならば!ヨーロッパの伝統のパン造りを知った今、これを日本人向けに造っていきたらいいなぁと思います。
僕はパンで自分も家族も食べてくれる人も皆「笑顔」にしたい。その「心」を忘れずにこれからもパンを造っていきたい。
そんなことを想う5月の日の入りです☺️