朝ドラ『虎に翼』第40話 日本国憲法第14条を読み上げるのは、尾野真千子から寅子へ

寅子(伊藤沙莉)のもとに、夫・優三(仲野太賀)の赤紙が届く。寅子の父の直言(岡部たかし)から、出征前に「何かしておきたいことはあるかい?」と聞かれた優三は、寅子と2人で出かけたいと答えた。優三と寅子は、多摩川の河原に出かける。この河原は、よく2人で過ごした場所だ。河原の向こうに列車が通る橋が見える。この橋は、第1話の冒頭にも映っていた。このことから、この河原は、第1話で寅子が日本国憲法第14条が載った新聞を読んでいた河原であることがわかる。第1話では、尾野真千子の語りで日本国憲法第14条が読み上げられた。

出征する優三を皆で見送るとき、寅子は悲しい顔でうつむいていた。そんな寅子に、優三は変顔を見せる。この変顔は、高等試験で緊張する優三に寅子が見せてくれた変顔のお返しだ。立ち去る優三に、直言は武運長久を祈って万歳の号令をかける。皆が万歳するなか、子を抱いていた寅子は手が塞がっていて万歳が出来なかった。寅子は万歳するような気持ちではなかっただろう。むしろ、寅子に万歳させないために、このドラマの作り手は、寅子に子を抱かせたのではないか。

次週予告では、尾野真千子ではなく寅子が日本国憲法第14条を読み上げる。第39話で、弁護士をやめた寅子は社会に対する関心を失って、新聞を読まなくなっていた。そんな寅子が再び新聞を読むようになるのだ。寅子は社会への関心を取り戻し、裁判官を目指すのだろう。

『虎に翼』に関する記事は以下のマガジンにまとめました。よろしければお読みください。

いいなと思ったら応援しよう!

小嶋裕一
よろしければサポートをお願いします。いただいたサポートは今後の活動費に使わせていただきます。

この記事が参加している募集