狐と蝶
ある秋の晴れた日の午後、薄黄色の狐が一匹、野を駆けていた。
不思議なもので誰にも会わない。
ただ、ただ、芒を掻き分けて走る。すっと視界が開け、丘になる。登って見渡す一面は黄金色。しかし、やはり他に誰の影もなく、音もなく。見上げれば、陽が眩しい。
ふと、横を見遣ると、蝶がひらひらと舞う。
「お前も独りか」そう思って、安心し、狐はまた、駆け出した。何を目指しているのか、わからぬままに。
蝶はひらひらと舞い、芒に留まった。その色は陽に照らされて橙色に光っていた。
完
ある秋の晴れた日の午後、薄黄色の狐が一匹、野を駆けていた。
不思議なもので誰にも会わない。
ただ、ただ、芒を掻き分けて走る。すっと視界が開け、丘になる。登って見渡す一面は黄金色。しかし、やはり他に誰の影もなく、音もなく。見上げれば、陽が眩しい。
ふと、横を見遣ると、蝶がひらひらと舞う。
「お前も独りか」そう思って、安心し、狐はまた、駆け出した。何を目指しているのか、わからぬままに。
蝶はひらひらと舞い、芒に留まった。その色は陽に照らされて橙色に光っていた。
完