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習い

 子供の描いた絵を見る。今は高校生の娘が小学校の図工の時間で描いたものだ。抽象画……と言ったら良いのか、分からないけれど、何か惹かれるものがある。青い画用紙に黄色と白と桃と紫の色が絵の具で散りばめられ、織りなされる世界は生の横溢と言った所だろうか。そんな言葉の羅列が陳腐に感じるほど、ただ、ただ、惹かれるものがある。
 そんな世界を見てみたい……いや、感じていたい。
 昼を告げる時計のアラームが鳴った。
 そうだ、買い物行かなければ……。飲みさしの黒のカップを置いて椅子から立ち上がる。私は席を立ち、支度を始める。慌ただしく家を出る。立ちこめる雲を見上げると、雨がポツリと降り始めた。傘を取りに戻り、漸く出発。

 雨はその日夜まで降り続いた。
 明日の事を考えながら布団に入る……変わらぬ日常がそこにある。
 0時を告げる時計の音がする。
 さあ、寝よう。
 

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