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#081 星野源のパフォーマンスに清志郎さんが重なった

2024年の紅白で星野源が曲目を変更して歌ったステージは強烈なインパクトがありました。無音で始まり無音で終わる。アコースティックギター1本の弾き語りで、曲のチョイスは「ばらばら」。終始目が座っていて、カメラを射抜くような鋭い目線が印象的で、メッセージ性の強いステージでした。

Xでは源さんのパフォーマンスに対して色んな反応が流れていましたが、みんなそれぞれ「ばらばら」。色んな解釈があって面白いです。

ここからは私の解釈になりますが、私が感じたのは、目つきから怒りを感じたことです。源さんは「地獄でなぜ悪い」をどうしても歌いたかったんだと、それは彼なりの理由があり、推し量ることはできませんが、曲目変更に対する怒りをあらわにしたステージだったと思います。

メディアの圧力により自分の表現を封じられ、出した答えが「ばらばら」という曲でした。抑圧された中でのステージ。そして生放送中に歌詞を一部変えるという行動。これらの一連に、忌野清志郎さんのような反骨精神を感じました。

清志郎さん伝説の「タイマーズ、夜のヒットスタジオ事件」。生放送でFM東京をやり玉に放送禁止用語を連発したのは有名な話。1989年のことです。そのステージと今回の源さんのステージがどうしても重なってしまいます。

その1年前にはRCサクセション最大の問題作「COVERS」がリリースされます。このアルバムは東芝EMIから発売される予定が、親会社からの圧力で発売停止に。結局、別のレーベルで発売されることになります。このアルバムの収録曲に「バラバラ」という曲があります。

カバー曲で、日本語詞を清志郎さんとチャボが担当しました。何もかもがバラバラで社会は分断されていることを歌った清志郎さん。源さんの「ばらばら」はRCサクセションの「バラバラ」に通じるものがあるな、と思いました。

源さんは紅白の直後、年明けの25時より、星野源のオールナイトニッポンに生出演。淡々とそして飄々とMCをこなしてました。2曲目に「ばらばら」をかけました。彼自身のデビューアルバムの収録曲で、源さんは当時抱えていたもやもやをうまく言語化できた作品だと陳述していました。

このオールナイトニッポンの放送の中で、源さんは1曲目にビヨンセの「Freedom」をかけました。サビに「Freedom!Freedom」と連呼する曲。ここでもまた、私は勝手に清志郎さんを重ねてしまいます。

RCサクセションも「自由」という曲で、サビに「自由!自由!」と連呼する曲を出しています。あぁ、源さんの抱えている今の気持ち。清志郎さんにそっくりだと。

権力に屈しず歌で答えを出す。星野源と忌野清志郎の共通項が見えた年末年始でした。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願いします。

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