心理職地方公務員のススメ 第1章2節~学部卒でもなれる心理職~
こんにちは、むーとです。
最近の気温の低さは恐ろしく、ヒーターと炬燵から動けない日々になりました。
将来心理カウンセラーになりたい人、心理学部の人、またはそうしたお子様を持つ保護者の方にお伝えしたい内容を書いていきます。
浅学な上長いため、読んでいただき心理職に興味を持っていただけると幸いです。
はじめに~前々回記事紹介~
当記事は前々回投稿した、「心理職地方公務員のススメ」記事の続きのような記事になります。よろしければそちらの記事をお読みになってから当記事を読んでいただけるとより内容を理解しやすいかと思います。
↓記事はこちら↓
前々回は、①待遇が良いから②試験を公認心理師や臨床心理士なしでも受けられるから(自治体による)③大学院試験が難しいから(大学による)の3つの理由から心理系大学院を受ける際にサブプランとして心理職地方公務員試験を受けることをお勧めする記事を投稿しました。
前回は①待遇がいいからについてお話ししたため、今回は、この②試験を公認心理師や臨床心理士なしでも受けられるから(自治体による)という理由について少し深堀しつつ話していきたいと思います。
学部卒で心理職になれるということ
公務員試験を、公認心理師や臨床心理士なしで受けられることの何がいいのか、そう疑問に思われる方も多いと思います。
そこで、①心理職の資格の重要性、②公務員心理職とはどんな仕事があるのかの2つのポイントから、心理職公務員に心理学部大学生がチャレンジするべき理由を説明していきたいと思います。
①心理職の資格の重要性
結論から話すと、「公認心理師・臨床心理士がなければほぼ心理カウンセラーにはなれない」です。
そもそも、「公認心理師って何?」「臨床心理士って何?」という人もいらっしゃるかもしれません。どちらも、日本でとれる心理カウンセラー資格の最上位(海外にはもっと難しいものがあります)に位置する資格でありながら、この2つは全く別物になります。まずは簡潔にそれぞれの違いを踏まえながら、説明していきます。
(1)資格の種類
「公認心理師」→国家資格。持ってないのに、「私、公認心理師です。」と名乗ってしまうと犯罪になる。「公認心理師」、「心理師」というどちらの名称も使えない。1度とったら一生もの。更新なし。
「臨床心理士」→民間資格。持ってないのに、「私、臨床心理師です。」と名乗っても別に犯罪にはならない(ただし虚言癖と思われる)。維持には更新が必要であり、5年間で切れるし更新には研修を受けましたポイントが必要。切れるまでにたくさん研修を受けてポイントをためつつ、そこそこ高い更新費を払う必要がある。
(2)取得の道のり
「公認心理師」→指定カリキュラムのある大学の「学部」に入り所定の単位を取った後卒業し、さらに指定のカリキュラムのある大学の「大学院」に入り、所定の単位を取った後修了する必要がある(例外あり)。しかし、そのあとマーク式の筆記試験を合格すればとれる。
「臨床心理士」→学部はどこでもよく、資格の会が指定する大学院で所定の単位を取り修了することで受験資格が得られる。その代償に筆記試験、論述試験、面接試験全てを通過しなければならない。
この2つがこの2資格の大きな違いですが、それ以外には大きな差はありません。どちらも非常に取得の難しい資格であり、これらの資格を持っていることは、高水準の臨床力と研究力を備えていることの裏付けとなっています。
当然ながら、心理カウンセラーという職業は、並大抵の知識や臨床経験、研究力で勤まる仕事ではありません。そのため、一般的な心理職採用のほぼ全てがこの2資格の片方または両方を持つことを応募の必須条件としていることが今の日本の心理職採用の現状です。おそらくこの条件がより厳しくなることこそあれ、緩和されることはまずないでしょう。
例えば、スクールカウンセラーでは、東京都が公立学校のスクールカウンセラーの募集を時々していますが、応募資格は以下の4パターンのいずれかであり、いずれにも該当しない心理学部卒は応募することすら許されていません。
スクールカウンセラーに限らず、医療法人や社会福祉法人の運営する施設のカウンセラー職、企業の産業カウンセラー、いずれもそのほぼすべてが「公認心理師」か「臨床心理士」またはその両方を取得していることが前提となっています。
つまり、日本で心理カウンセラーになりたければ大学の学部時代から心理学に打ち込み、院で研究をし、資格試験に合格するほかないのです。
しかしながら、大学院に行くにはお金もかかりますし、臨床がしたい人は研究が嫌いという人もいるかもしれません。大学院試験も難しいです。
そこで、大学院に行かずに、資格を持たずに、心理カウンセラーになることができる方法は、実は2つあります。
1つ目は、自分で相談室を立ち上げることです。心理カウンセラーは「心理の知識を使って悩みの相談を受ける人」ならだれでも心理カウンセラーなので、資格がなくとも、困っている人の悩みを心理の知識を使って受ければ、誰でもみんなカウンセラーになることができます(公認心理師や臨床心理士を持っていないカウンセラーの相談室に客が相談に来るかは別として)。
2つ目は、心理職採用の公務員になることです。公務員の心理職採用は、心理学部や心理学科など、心理を専攻する学部・学科を卒業・卒業見込みであることが受験資格となっていることが自治体によっては稀にあり、「公認心理師」や「臨床心理士」なしでも、公務員試験に合格して働くことができれば心理カウンセラーになることができます。
以上から、公務員以外の心理職は資格が必要不可欠であったり、そもそも相談室を起業しても運営できるか不透明であることなどから、資格が必要なく受験可能な公務員試験は、大学院試験のサブプランに有用であると私は考えています。
次は、なぜ、資格がなくてもよいのか?という視点から心理職公務員ってどんな仕事なのかについて話していきたいと思います。
②公務員心理職とはどんな仕事があるのか
なぜ心理職公務員が資格を必要としないのか、明確に公表されたわけではないうえ、私自身がまだ公務員心理職を全て経験しているわけではないため、あくまでも本節は個人の考察と感想になります。ご理解とご了承のうえお読みいただければと思います。
やはり、一口に公務員心理職と言っても内情によって大きく異なります。
国家公務員か、地方公務員か、どこの配属なのか、によって大きく異なりますが、その多くが心理判定業務を行う点で共通しているようです。私の知る限りの公務員心理職を、ざっくりと、こちらに箇条書きで示させていただきます。
(1)国家公務員
1.矯正心理専門職→少年院や少年鑑別所で子供の分析、支援を行う
2.家庭裁判所調査官→家庭内紛争や非行少年の分析、支援を行う
3.防衛省心理職→研究している(院卒前提)
(2)地方公務員
1.児童相談所の児童心理司→子供の心理判定、支援を行う
2.障害支援施設の心理判定員→障害児者の心理判定、支援を行う
3.市役所の心理判定員→相談に来た人の心理判定、カウンセリング、支援を行う
4.都道府県立病院→患者の心理判定、カウンセリング、支援を行う(院卒前提)
5.都道府県警察心理職→犯罪に巻き込まれた方の支援、判定などを行う
ざっくりとどのような仕事があるかはこちらになると思われます。無論、まだまだほかにもあるかもしれないため、是非調べてみていただけると幸いです。
資格が必要ない理由ですが、このように心理判定を多くするため、特に大学院に行って研究力を養うよりも、働いて心理判定に特化した臨床経験を培ってほしいという目的があるように感じられます。特に、法務省の矯正心理職は、大学で所定の単位を履修していれば、就職後数年間の実務経験の後に、公認心理師試験の受験資格を大学院に進学せずに得られるプログラムがあるため、そういった側面は強いと思われます。
また、資格を持っていなくとも、これらの業務は任される可能性が高く、心理カウンセラーとして働く中でも、生涯でも貴重な経験が得られる可能性は高いと思われます。
以上から、公務員の心理職は、資格がなくとも有資格者と同等レベルの経験を積むことができることなどから、資格が必要なく受験可能な公務員試験は、大学院試験のサブプランに有用であると私は考えています。
おわりに
このように公務員心理職は、大学院に合格できないうえ心理職を諦められない心理学部生が、心理職になることができるほぼ唯一といっても過言ではない手段でありながら、有資格者と同レベルの体験ができる仕事です。
もちろん、全ての自治体が心理職採用をしているわけではないことや、いうまでもなく、院生と学部生が同時に面接を受けたならば、資格を持っている院生が圧倒的に有利ですが、学部生が決して受からないということはありません。
そのため、最初は落ちるかもしれないな、という気持ちで、まあ落ちても院試をしっかり受ければよいという気持ちで、筆記は大学院入試のついでに対策し、合格したらきちんと面接対策をするといった形で受けてみると、案外蓋を開けてみれば公務員試験に合格していた、ということもあるかもしれません。
何事も挑戦してみることが大事なので、これを読んで頑張っていただければな、と思い書いております。
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