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今日は節分。
暦の上では明日から春。

このところの気候をみると、その空気を察してか徐々に寒さが和らいてきている気がする。
もしかしたら、ここのところずっとテレワークで家の中にいるから季節の変化がわからないという方もいらっしゃるかもしれないが…。

日本の春の迎え方。
本日の節分行事もまた一つ。皆さん豆まき用の豆のご準備はお済みでしょうか?

ちなみになぜ節分に豆を撒くのか。
諸説あるものの、一つは「まめ」という言葉が「魔滅」に通じ、邪気を滅する力があると考えられているため。これは日本の言霊信仰という、言葉には力があるという信仰があることに由来している。

もう一つの理由は、大豆が神聖なものとして見られているため。
大豆を含む穀物には生命力と魔除けの呪力が備わっていると見られている。これは推察ではあるが、大豆や穀物がこの世に誕生した描写のある『古事記』の話に起因していることが考えられる。『古事記』の中では大豆などの穀物は大宜津比売(オオゲツヒメ)という神様の亡骸から生じたとされる。神様の体から生まれ出たものであるから、神聖なものとして見られていると考えても良いのではないか。

このように、私たち日本の文化には季節の変わり目をどのように乗り越えるかという伝統行事が節分の行事として根付いている。節分が終わり、もう少しすると梅の花が咲き、桃の花、桜の花と艶やかなピンク色で世間が彩られる。それによって私たちは「あぁ、春が来た」と実感するものである。

さて、一方で他の国はどうであろうか。
他の国においてもそれぞれ春の迎え方は伝統があると思うが、ここではアイルランドを紹介したい。

アイルランドはイギリスの左隣にある島国。
日本が東の端の島国とすると、アイルランドは西の端の島国といった位置づけではなかろうか。

以前の記事に書いたように、私は10年ほど前アイルランドにワーホリに行ったことがある。その際の縁があり、先日アイルランドの春を迎える行事の一つImbolc(インボルク)について知ることになった。

Imbolcは2月1日に行われる。
アイルランドの伝統文化であるケルト文化では、このお祭りを経て春の訪れを感じ、祝うという風習がある。

アイルランドでの春とはどのようなものかというと、日本のように周り一面がピンクになるというわけではなく、羊の乳搾りが始まったり、子羊が生まれたりすることがあげられる。アイルランドは本当にちょっと郊外に行くとその辺の草原に羊がたくさん放牧されている。緑の草原の中にたたずむ白い羊の写真を見たことがある人は、まさしくそれがアイルランドでよく見る光景の一つとして考えても差し支えない。

そのように、新たな生命の誕生というのがアイルランドの春のテーマのようだ。

さて、2月1日はケルト文化の女神、ブリギットの日でもある。
ブリギットは太陽の光、健康、鍛冶を司る。芸術や収穫と家畜、自然にも関わる神である。これらのイメージから、なんとなくではあるが春を連想させるような神様なのかなという想像ができる。

ブリギットは健康の女神でもある…と。
そういえば流行病を治める妖怪として最近にわかに脚光を浴びているアマビエ様もなんだか女性のイメージで描かれていることが多いように思えるし…どことなく繋がりがあるようでないような…。今年の節分には「鬼は外、福は内」の福の神として、アマビエ様の到来を祈る人も多いのではないだろうか。

いずれにせよ、アイルランドにおいても春を迎えるその象徴となる日に健康や豊作、多産を象徴するような女神の日として認知されているのは、東の端と西の端同士、春を迎えるにあたって共通した祈りを持っているというのは興味深いものである。

おそらくそれ以外の国においてもきっと、春を迎えるというのは特別なもの。
それぞれの国の風土にあった慣習や伝統があるのだと思う。

せっかく長い歴史と伝統のある国に生まれた、または縁があるのだから。
今宵は日本の伝統文化にのっとって、豆まきに祈りを託してみるのはいかがだろうか。

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