花は咲く、修羅の如く 二話メモ

他者紹介 準備

オリエンテーションで他者紹介をすることになった花奈はペアである冬賀萩大に問いかけられる。
「アンタは何ができるの」

強み。
中々難しい言葉ですよね。
成果や実績があればそこから分かるものもありますが、普段から自分のことを顧みていないと曖昧な答えになってしまいます。
花奈もまた、迷ったあげく

良い子。聞き分けがいい。お手伝いもちゃんとやる。

といった要素を上げました。
言いながら、少し目を伏せたところを見るに、それにも自信がないようだとわかります。

「それの何が強みなわけ。それって他人にとって都合がいい行動しているだけじゃん」

淡々とした指摘に花奈は返す言葉もありません。
黙り込む花奈に――パァンッ!
わお、クラッカー。

「俺さ、音作るのが好きなんだ」

そういって萩大は自分で作った音を聞かせてくれます。
正直なんのシーンかわからなかった……
花奈、なぜ分かる……?

そして一通りどうやってそれぞれの音を作っていったのかを楽しげに語ると

「放送部ってなんでもやれんだよね。映像制作も個人発表も、本当になんでも。だから俺、放送部が好きなんだよ」
「音が好きってことが俺の強みだと思っている。好きってさ、つまりは興味をもてるってことじゃん。それって最強のアクセルじゃね」

萩大に感化されて花奈も朗読が好きだと言います。
言えたじゃねえか……

「いいんじゃねえの。実際何かを好きなやつって強ぇんだから」
ここのカット、すごくいいなと思いました、萩大がイケメンすぎる。

続いて実際に朗読をやってみせることになった花奈。
宮沢賢治の「やまなし」より「五月」の冒頭ですね。
「クラムボンはかぷかぷ笑ったよ」は有名でしょう。

なんというか。
教室がいつの間にか透きとおる水に満たされていました。
そのなかで、泳いでいるようにも浮かんでいるようにも、あるいは飛んでいるようにも見える花奈の姿に萩大はハッとします。

いいですね。
この、イメージで人を呑みこんでいく演出は映像表現の醍醐味ではないでしょうか。

終わった後、「やるじゃん」と、零れたというか、溢れたというか、感情を動かされた衝動によって自然発生したみたいな笑顔を見せた萩大に花奈もまた笑顔を綻ばせました。

他者紹介 本番

「とりわけ好きなのは効果音作り」と花奈が他者紹介のなかで言っているカットで杏が萩大に視線を向けたのが気になりますね。
花奈の他者紹介が終わった後、

「ま、お遊びでやるなら、好きって理由でいいんじゃない」

と杏。そして動揺する花奈。
「そんなんだから退部者続出すんだよなぁ、スパルタ第二中は」
と萩大があからさまに声に出すと、すかさず杏も言い返す。
花奈を庇ったというのは結果から見ればそうですが、杏と萩大の間にも何か因縁を感じさせますわ。
でも、杏ちゃん……初対面でそれ言われたら、キツイよ……。

さて、萩大の他者紹介
「俺は自分の好きなものに対して一生懸命やっているやつが好きだし、自分の評価を得るために自分の好きなものを利用されるとすげームカつく。朗読が好きで朗読会をやっていた春山は前者っぽいから、一緒にいろいろ作っていけたらいいと思う」

瑞希もうんうん、と頷きながら聞いているなか、こういうセリフがさらりと出たのは個性だなぁと思います。

話はそれますが、
他者紹介ってけっこうメタ的に見ると、こういう一挙に複数のキャラが登場し、かつそれぞれのキャラの個性を出したい場合、とても美味しい題材なんですよね。すごいやりやすい。

あるキャラクターの事を別のキャラクターにだけでなく視聴者側にも伝えるから、自然とキャラクターの個性を受け入れやすくなるんですね。
通常の物語のなかで見せる情報って限られているし、むしろ絞った方が視聴者も分かりやすいです。
ですが他己紹介が目的となると、反対に情報がないと不自然だから、実は大人数のキャラを登場させるときは有効なのかもしれませんね。

さ、次は秋山松雪の他者紹介です。
彼はむしろ落ち着いていますね。
松雪の他者紹介の相手である杏がかつては朗読をやっていたが、「大きな決断」としてアナウンス部門に戦うフィールドを変えたことが明らかになりました。

彼の他者紹介はこれだけであんまりまだ松雪というキャラクターに焦点が当てられていないですが、上記で触れたとはいえ一度に色んなキャラの個性を出し過ぎるというのもごちゃごちゃしますし、すっきりしていてよかったかも? なんて思いました。

というよりは、彼の性格上、自分から個性を見せにくい感じなのかもしれないですね。
杏と萩大の仲裁もやっていたようにも見えるし、人との関係性のなかで個性を見せるタイプに見えました。

最後は夏江杏。
最初の一言目も締めの言葉も他の三人とは違った構成であり、先輩方からも称賛されていました。
私が気になったのはこの後ですね。

「せっかく仲間になったんだ。一年生同士、仲良くやれよ」

と花奈を睨んだ杏の肩に手を置いて瑞希が言います。

「馴れ合いと仲良しを混同されてるんじゃないですか」

この後の瑞希の対応を見ていると、やっぱ一話で焦点当てたのは正解だったんでしょうね。
花奈と瑞希に焦点を絞りに絞ったエピソードがなかったら、瑞希に対してはまた違った印象を受けていたはずです。
だって、ここまでの瑞希は明らかに「学校の先輩」というペルソナを被っていて、瑞希個人というキャラクター性がほとんどないです。
もちろんどっちが良いという話ではありませんが、この時瑞希はどんなことを思っていたんだろう、と想像するのは楽しいです。

放送部へ

設備エッグ。
スタジオひっろ。
うわぁ、こういうのが高校時代の部活であったのなら楽しいんだろうな、なんて想像してみたり。

本棚が瀬太郎の領域になっているのは笑いました。
どんな本読んでいるんだろう。

さて話はNコンへ。
瑞希が
「夏江は中三からアナウンスになったんだろう。アナウンスが好きなのか?」
と尋ねると、口元をぎゅっと結んだ杏が
「好き嫌いは関係ないです。私の声の適性がそちらにあるとわかったので」
と返します。
その時に瑞希の目がアップで映るのですが、瑞希って会話が上手いというか、頭良いんだろうなって思いました。

腹式呼吸

すももが丘高校放送部練習メニューを配られ、これを使って発声練習をやってみますが、花奈が少し苦戦している様子。
瑞希が近寄って、
「腹式呼吸を意識しろ」
と声をかけます。

困惑する花奈の手を取ると、瑞希は自分のお腹に花奈の手をあてました。
そしていくつかのアドバイスをします。
良い先輩ですな。
花奈も素直で教えがいのある後輩なんじゃないかなー、なんて外野から適当にそんなことを思いました。

「アンタ、本当に朗読やるの」
そう尋ねる杏に花奈は
「やりたいと思っているよ。物語が好きだから」
と答えます。

「好き嫌いで決めるもんじゃない、こういうのは。声質は才能なのよ。結果を出したいなら、自分の武器を自覚しないと」
「わたしは別に、結果なんて……読むのが好きってだけだから」
「負け犬のセリフね」

うおお。
ギスギスしてきた。
まあ、なんとなーくですけど、杏に何があったのかは想像つきそうな感じはしますよね。
彼女自身がそう言っていますし……。

「だからキツイんだよ、第二は」

と萩大が私の気持ちを代弁するように言ってくれました。
サンクス萩大。

「私はもう! ……誰にも負けたくないの」

ほれみろ、と。
だいたい想像はつきますよね。
まあ、杏のアナウンス転向に関するエピソードは絶対にこれから触れられるでしょうから、その時にまた触れましょう。

銀河鉄道の夜

杏と花奈は銀河鉄道の夜を交互に朗読することになりました。
まず杏が朗読します。
この気持ちの切り替えの早さは流石です。

「うん、僕だってそうだ」

ここのカットはぞくっ、としました。
それまでの色彩表現がガラって変わり、一瞬だけ映った花奈の顔はちょうど瞳の半分から上は見切れており、中途半端に目に視線が集中するからこそ、その一瞬という時間の短さも相まって、「え、なに!?」とこちらの空気も変わったわけです。

良子は花奈の声を

相手を引き込む声。
世界観を表現するためにある声。

と評しました。
そして彼女は続けます。

「もって生まれた声質はどうにもならない。才能ってほんと暴力的」

良子は瑞希を含みのある目で見ました。
ですが瑞希は「ん?」と気が付きません。

「なんでもない」

と明らかになんでもなくない語調で良子は練習メニューを握りしめました。
それに気が付いたのは、瀬太郎ただ一人。
あれ、瀬太郎、あんたさっきまでゲームしてたじゃないか。
そうか、良子の抱える何かに気が付いているんだな。
ポイント高いです。

松雪と杏

「アナウンスだろうが朗読だろうが、自分のやりたい方を選べばいい」
瑞希は杏にそう諭します。
ですが杏はどうにも決断しきれない様子。
おそらく彼女もかなり苦渋の決断としてアナウンスを選んだが、未練もある、といったところでしょうか。

ここで松雪が杏のフォローに入ります。

「好き嫌いと向き不向きは別じゃないですか。どれだけ努力しても報われないなら、自分の適性であったフィールドで戦った方がいい」

ええ男やないか松雪……
と、そんな松雪を見て杏は、

「……すき」

となんだか、見方が変わったような――え、好き?
嘘、マジ?
大丈夫、花奈。
私も同じ反応したよ。

「秋山くんのこと、好きなの?」
「は、はぁ!? そんなわけないでしょっ!」

わお、花奈、ドストレート。
思わず声が裏返って杏は否定しますが、そのガチっぽさが反対にガチっぽさを生むというか……

「あの二人仲良くなれそうで良かったね」
「あんたの目、節穴じゃね……?」

ボーイズの会話にも笑いました。

オリエンテーションの終わりに

瑞希から渡されたのは、放送部員の証である部章です。

瑞希「ようこそ、すももが丘放送部へ!」
良子「これからよろしくね」

よし、花奈の輝かしい放送部ライフはこれからだ!

「君ら、放送部なんて放っぽって、演劇部に入らへん?」

花奈「…………え」

いや、私も、え、よ。

まとめ

はい、ということで今回は「花は咲く、修羅の如く」の二話のメモでした。
いや、このキャラクターたちがこれからどんな物語を歩んでいくのか楽しみになるエピソード……いや、やっぱり引きのセリフが強すぎる。
これは次も観るしかない。
それでは。

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