シローが咬む理由をシローにも〜知れないのが私の悩み〜黒の舟歌
我が家の飼い犬。名前はシロー。8年前にやってきた。
30年以上住んだ団地を出て借家に引っ越した後、ほどなく次女の強い希望で犬を飼うことになり、もらい受けた犬だ。
柴犬との雑種の彼は毛が白いので「シロー」と名付けた(のだろう)。はじめは小さな庭に犬小屋を置き、外で飼っていた。
ある冬は全国的に大雪で、関東もひどい積雪だった。シローは雪降る夜、犬小屋で震えながら(かどうかは本人(=犬)に聞かねば分からぬが)過ごしていた。
その後、今の家に移り、シローを室内で飼うことになった。
シローは極端な怖がりだ(もらい受ける前、何かの出来事がトラウマになっているようだ)。
前の家の庭は、駐車場の裏に位置していたので人通りが目に入らずよかったが、新しい庭は通りに面している。人(特に男性)が家の前を通るたびに吠える。中型犬だが大型犬寸前の重量があるので吠える声も大きく近所迷惑なので室内犬にしたのである。
シローにとって私はよそ者。そりゃそうだ。私は去年の4月まで長野にいたので一緒に過ごした時間が少ない。散歩に連れることも全くなかった。
5月に帰ってきて共に住むようになり、一年経過した。ようやく私も同居人として認めてくれるようになったようだ。
去年5月に一度散歩に連れていった。手順は、妻や長男の方法を真似て、いつものコースを歩き問題なく帰宅した。
ところが、家に上げる前にタオルで足を拭こうとしたら、即座に吠え、腕を咬まれた。脚をもつ角度がよくなかったようで、痛かったのだろう抵抗のため咬んだのだ。ほんの一瞬だったが、腕まくりをしていたので咬まれた箇所は歯形が付き出血した。
遠くに住む次女はこの出来事を聞き(Lineなので正確には「読み」…笑)、
「ずっと覚えているだろうから、散歩に連れるのはしばらく時間をおいた方がいい。」
とアドバイスした。
アドバイスどおりしばらく時間をおいた。
そのしばらくは、極端にしばらくで、シローの散歩を再開したのは10ヶ月ぶりになるこの3月だ。
散歩は問題ない。
けれど、相変わらず家に上がる時脚を拭かせてくれない。いつも妻に拭いて貰っている。
そろそろ大丈夫だろうと今日試みたが、奴は案の定即座に咬もうとした。すばやく腕を遠ざけたので被害に遭わなかったけれど。
来週家族は旅行に行く。私はバイトを休み、シローと留守番だ。(^_^)
3日間、雨が降らなければ散歩に連れることになるが、相変わらず奴は脚を拭かせないだろう。狭い玄関だが花道みたいにタオルをたくさん敷いて歩かせるとか、食べ物でつってそのスキに拭こうか、など作戦を考えている。
シローが脚を拭かせない理由をシローと思うのだが、奴が沈黙を続ける(というか犬はしゃべれない)のが、私の悩み。その悩みは「黒の舟歌」の歌詞のみたいに、深くて暗い河があるようなものだが、私は今日もえんやこらと舟を出す。