空想の世界に浸りたいときは、スピッツのファーストアルバムを聴いてほしい
スピッツというと、和やかで日常的な印象があるかもしれない。
確かにそれはその通りで、ブレイクしてからは、いくぶんポップなサウンドになった。
それとは対照的に、初期の作品は幻想的で不思議な雰囲気が漂っています。
そんなことから、ぜひ初期の作品も聴いてほしい。
特に、私からのお勧めはファーストアルバム『スピッツ』。スピッツのアルバムの中で、私が1番好きなアルバム。
このアルバムがすごく好きで、もうCDが擦り切れるくらい聴きました。このアルバムには、スピッツの他のどのアルバムにもない、独特の世界観が存在します。
ところで・・・
クラシックの世界では、「ワーグナーの音楽には毒がある」といいますが、私にとっては、
スピッツの音楽には毒がある
そんなふうに形容したい。
特に、初期の作品には、幻想的で独特の雰囲気があり、身も心もどっぷり浸ってしまい、なかなか抜け出すことができなくなります。
曲のタイトルからして、「ニノウデの世界」、「海とピンク」、「ビー玉」、「五千光年の夢」など、不思議なタイトルばかりが並んでいます。
歌詞についても、ジャケットの「歌詞」の部分に「詩」と書いてある通り、ボーカル草野正宗さんの詩の世界が広がっています。
詩についてはスピッツのこれ以降のアルバムにおいても、その独創的な世界が魅力の1つですが、このアルバムではサウンド面で独特な雰囲気をもち統一感があるのです。
そして、この独特なサウンドによって、このアルバムを聴く者を不思議な空想の世界へと誘います。
この「空想の世界へ誘われる」ことこそが、このアルバムの最大の魅力だと私は思います。
毎日の生活に疲れたときや、失恋をして現実逃避をしたいときなど、このアルバムを聴くと、空想の世界へ旅立つことができて心が癒されます。
そういう意味でも、このアルバムはとても大切な存在です。
ただし、空想に浸ったあとは、現実の世界へ戻ってくることも大切ですね!
また、このアルバムは聴く者の想像力をとても刺激します。
たとえば、6曲目の「テレビ」には、
という歌詞がありますが、想像力をかき立てられてドキドキします。
また、セカンドシングル「夏の魔物」は、スピッツらしいサウンドが心地よく、何度でも聴きたくなります。
この曲には、次のような歌詞があります。
「夏の魔物」とは、何なのだろう?
夏の魔物を君と見た。
夏の魔物に今も会いたい・・・。
これはどういうことだろうか?
想像力がふくらみますね。
ファーストアルバムには「うめぼし」も収録されています。
サビは次のような歌詞です。
私はこの曲を聴いたとき、衝撃を受けました!
なんてすごいサビなんだ。
冗談ではなくて、真剣に歌っているのです。
しかも、せつないのです!
草野さんの気持ちがギュッと詰め込まれた絶妙の1曲です。
このアルバムは、
アルバム全体を通して、統一感のあるサウンド
で彩られています。
アルバムを1つの作品と捉えて、全体として1つのテーマを与えたアルバムを「トータルアルバム」といいます。
トータルアルバムとしては、
ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』
ビーチボーイズの『ペット・サウンズ』
などが有名です。
思うのですが、独特のサウンドがアルバム全体に統一感をもたらしているという点では、スピッツのファーストアルバム『スピッツ』も、ビートルズの『サージェントペパーズ・・・』やビーチボーイズの『ペット・サウンズ』同様、「トータルアルバム」といえるのではないでしょうか。
あなたもぜひ、このアルバムを聴いて、空想の世界に浸ってください。
きっとエネルギーチャージができるはず。
■ 執筆者 : 松岡 学
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