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バッハ《カンタータ第80番》、メンデルスゾーン 《賛歌》を聴く
バッハ・コレギウム・ジャパンの定期演奏会『バッハからメンデルスゾーン・バルトルディへ』を聴きに行ってきました。
10月31日「宗教改革記念日」にちなんで、J.S.バッハのカンタータ第80番《我らが神こそ、堅き砦》BWV80(WFバッハのヴァージョンに手を加えたBCJ版)と、メンデルスゾーンの《賛歌op.52》というプログラムです。
今回の2曲は、ルターと宗教改革にちなんだものです。
※宗教改革記念日:1517年10月31日、マルティン・ルターがヴィッテンベルク城教会の扉に『95ヶ条の論題』を公示したとされる。
バッハ カンタータ第80番《我らが神こそ、堅き砦》BWV80
この曲は、1724年10月31日、宗教改革記念日のために作曲されたカンタータで、ルターを讃えるバッハの思いが込められています。
ルターが作詞・作曲した讃美歌《我らが神こそ、堅き砦》が全編を貫き、あらゆる迫害との闘争や、中傷に屈しない信仰心を喚起させる力強い作品です。
メンデルスゾーン 《賛歌》聖書の言葉に基づく交響曲カンタータ作品52
メンデルスゾーンが1835年からゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者として暮らしていたライプツィヒは、書籍見本市で栄えた街でした。
この曲は、1840年グーテンベルクの活版印刷発明400年記念祭のためにライプツィヒ市からの委嘱を受けて作曲された「交響曲カンタータ」です。
ルター訳聖書の普及、宗教改革が推進されたのは活版印刷のおかげです。
1840年6月25日、聖トーマス教会にて2000人の聴衆を前に、メンデルスゾーンの指揮により、合唱とオーケストラ合わせて500名の演奏によって初演されました。
バッハを尊敬するメンデルスゾーンとしては、ライプツィヒの地で演奏できたことが大変嬉しかったのではないでしょうか。
《カンタータ第80番》とメンデルスゾーン
メンデルスゾーンは《カンタータ第80番》を知っていました。
1823年14歳の誕生日に、バッハの《ミサ曲 ロ短調》の楽譜が祖母から贈られたことをきっかけに、所蔵楽譜の目録を作成します。(《マタイ受難曲》の楽譜は翌年の誕生日プレゼント。)
その目録のバッハの欄には、《ミサ曲 ロ短調》に続いて2番目に挙げられているのが《カンタータ第80番》だったのです。
1840年《賛歌》が初演された4年後、1844年10月31日、宗教改革記念にライプツィヒ・ゲヴァントハウスにて、バッハの《カンタータ第80番》に加えてメンデルスゾーンの《賛歌》が演奏されています。(《カンタータ第80番》は抜粋演奏)本日のコンサートと一緒です。(プログラムより抜粋)
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休憩時間の20分間で、メンデルスゾーン《賛歌》のためのセットアップが行われ、前半のバッハの《カンタータ第80番》よりも器楽・合唱ともに人数が一気に増えました。
特に管楽器のトロンボーン3本、ホルン4本、クラリネット2本、フルート2本、そしてパイプオルガンが加わった大編成のオーケストラで、ものすごい迫力になりました。
この曲は冒頭のトロンボーンが特徴的なモットー(動機)を奏でます。
これが『すべての息あるものよ、主をほめ讃えなさい』(ルターの旧約聖書の文章)というテクストで全体を統一しています。
《カンタータ第80番》の『我らが神こそ、堅き砦』と同様なスタイルです。
ソプラノの歌姫はスペイン・バスク自治州出身のジョネ・マルティネスさん。甘いけど、すごい力強さがあって、今回の演奏にはぴったりでした。
BCJさんのソロの歌手の方は、毎回、声質が自分好みなのですが、今回も素晴らしい表現力で最高でした。
今回の演奏会が、宗教改革記念日である10月31日に開催できたことは、ルター・バッハ・メンデルスゾーンとの何かとても大事なご縁を感じますね。
ちなみにXで、練習会などの雰囲気や曲にまつわるエピソード、古楽器の紹介などもしてくださっていて、コンサートに行くワクワク感がさらに増えました。
バッハの曲ではナチュラルトランペットを、メンデルスゾーンの曲ではバルブトランペットを使用。そのわけは「ナチュラルトランペットでは出ない音域を、より近い音色で再現するため」なのだそうです。
120年の時の流れとともに、楽器も進化(変化)していったんですね。
コンサートでは伝えきれない情報を、こうしてSNSを上手に活用して伝えていただけることで、コンサートへの満足感がグッと増します。
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