バッハを聴く 季節はずれのカンタータ
私は都内にある洋菓子メーカーのアートディレクターをしています。
いま、今年12月販売のシュトーレンの包装紙をデザインしているところです。
シュトーレンはここ4、5年で日本でも一気に定番化しましたね。
シュトーレン(Stollen)とは、バターたっぷりの生地にドライフルーツやナッツなどがぎっしり練り込まれたドイツの伝統菓子です。砂糖に包まれた真っ白な見た目から白いおくるみに包まれた幼子イエスをイメージしていると言われています。アドヴェント(待降節)と呼ばれる、12月25日のクリスマスまでの4週間、毎日スライスして食べることで、キリスト降誕を待ち望みます。
ナッツやドライフルーツをそれぞれに合った洋酒に漬け込む仕込みの作業はもうこれから始まります。下準備にとても手間のかかるお菓子ですが、4週間、日に日に味が馴染む変化も楽しめる美味しいお菓子です。
さて、デザインが完成したらプリントして、実際にシュトーレンを包んでみて、絵柄の見え方などの調整を繰り返し行っていきます。今回は包装紙なので、包み方も何通りか試します。丸みを帯びたシュトーレンを包み、リボンもかけて、説明カードも挟み込んで、完成形を作り、写真も撮ってみます。原寸大で試すこの作業が大事ですが、この作業自体、すごく楽しい時間でもあります。
「大切なものを包む」というのがとても好きです。
そんなクリスマスの仕事のBGMに、
今日はバッハの待降節のためのカンタータ『いざ来たれ、異教徒の救い主よ』BWV62を選んでみました。
1724年12月3日、ライプツィヒで迎える二度目の待降節のために用意されたコラール・カンタータです。ルターのコラール「高き高き高き国よ」を用いて作曲されています。第1曲は協奏曲のような華やかな弦楽合奏で待降節の期待を盛り上げていきます。第2曲はイエスの誕生を待ち望む喜びを表す軽やかに踊るようなリズムとテノールのアリアです。快速でとても軽やかなテンポがいい感じでした。
季節はずれではありますが、クリスマスを楽しく待つイメージにはぴったりでした。
8月初旬は、毎年恒例のクリスマスケーキの撮影です。外は35℃以上で溶けそうな気温ですが、冷え冷えのお部屋に柊やもみの木の小枝、キラキラボールやろうそくなどの小道具が勢揃い。15種類あるホールケーキやクリスマス特別プティガトー、クリスマスの焼菓子を朝から夕方まで撮影していきます。シュトーレンもこの時に撮影。ひと足さきにクリスマスの準備をしてまいります。出来上がりましたらこの冬、ご紹介させていただければと思います。