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女性作曲家 アンナ・アマリア

遅ればせながら3月8日の国際女性デーにちなんで女性作曲家のお話をします。

クラシック音楽界において、女性作曲家の曲を聴いたことはありますか?

ポーランドの作曲家・バダジェフスカによる《乙女の祈り》やクララ・シューマンの《ピアノ協奏曲》など1800年代に入ってからはありますが、バロック時代はほとんどいなかったのではないかと思われます。当時は、社会的に女性がまだ職業音楽家として活躍することが、なかなか認められなかったのが原因でしょう。

私が通うフルート教室では、年に一度の発表会があり、半年前くらいに曲選びをします。フルートを始めて3年経った頃の話ですが、「バロックの曲がやってみたいです」とぬけぬけと先生にリクエストしたところ、アンナ・アマリアの《フルート・ソナタ ヘ長調(通奏低音のためのフルート・ソナタ)》を選んでくださいました。

さて、「アンナ・アマリアって、どんな人?」

アンナ・アマリア(1723年11月9日-1787年3月30日)はプロセイン公国のフリードリヒ大王の11歳年下の妹でした。
フリードリヒ大王といえば、フルート奏者・作曲家として芸術的才能の持ち主。大バッハの息子C.P.E.バッハはチェンバロ奏者として仕えていました。
そして、その妹アンナ・アマリア王女もなんと作曲家だったのです。

フリードリヒ大王もそうですが、子供の頃、父親から虐待を受けていました。音楽嫌いの父親が亡くなって、ようやく音楽の勉強をすることができるようになり、兄・フリードリヒ大王からチェンバロ、フルート、バイオリンを学び始めます。

1755年、32歳の時にクヴェトリンブルクの女子修道院長に任命され、彼女は経済的に独立します。そこで大バッハの弟子で音楽理論家のキルンベルガーに作曲と音楽理論を学び、音楽に没頭します。徐々に音楽の常連客ができ、当時としては初の女性作曲家として、適度な名声を獲得し、トリオ、マーチ、カンタータ、歌、フーガを含む小さな室内楽作品で知られるようになりました。しかし現在、彼女自身の作品はほんの数曲しか残っていません。おそらく、カンタータ、コラール、室内楽、軍行進曲などを含む彼女の作品の大部分は、アンナ・アマリア自身によって破壊されたようですが、その経緯はよくわかりませんでした。そのため、彼女のことはあまり知られていないのだと思います。今日の彼女の最も有名な作品は、この《フルート・ソナタ ヘ長調》です。

この《フルート・ソナタ ヘ長調(1771年)》は、当時のロココ趣味を反映したエレガントで繊細な美しい作品です。一度聴いて、すぐ好きになりました。どこまでも女性らしい曲だなあと思います。
この曲を学ぶことで、はじめて楽譜に書かれていない装飾を入れたり、バロック時代の奏法の基礎をちょっとずつ教えていただきました。当時はモダン・フルートで教わったので、これから上記動画のように、バロック・フルート(=フラウト・トラヴェルソ)でもチャレンジしてみたいなと思っています。


また、彼女は音楽作品(楽譜)のコレクターでした。ヨハン・セバスチャン・バッハ、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル、ゲオルク・フィリップ・テレマン、カール・ハインリッヒ・グラウンとカール・フィリップ・エマニュエル・バッハなどの著名な作曲家から集めた彼女によるキュレーションは、西洋文化への重要な貢献を表しています。約2,200冊の楽譜は、現在、ベルリン州立図書館に収蔵されているそうです。



C.P.E.バッハとアンナ・アマリアとのエピソード

3月8日は大バッハの息子であるC.P.E.バッハ(1714~88)の誕生日でもあります。生前は父よりも有名で、その音楽はハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンにまで大きな影響を与えます。さらには、父の偉大さを伝えることに務めた功績も大きく、今日に至るバッハ神話を作り上げた中心人物です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/フリードリヒ2世_(プロイセン王)

C.P.E.バッハはプロイセンの宮廷で王室楽団員の地位にまで昇り、その後22年の間、カール・ハインリヒ・グラウンやヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ、ヨハン・ゴットリープ・ナウマンらと並んで、大王の寵愛を受け続けました。

アンナ・アマリア王女がベルリンの邸宅に所有していた
「ベルリン・アマリア・オルガン」
(Peter Migendt製作、二段鍵盤とペダルボードをもつ)
http://www.newsdigest.de/newsde/regions/berlin/15193-1211/

C.P.E.バッハは、大王の妹アンナ・アマリア王女のために22ストップ、2段鍵盤ペダル付きの美しいオルガンが製作されたことに合わせて、このオルガンの演奏がより美しい響きとなるよう工夫を凝らしたオルガン作品を献呈しました。
ロココ調の装飾でグリーンのアクセントカラーが素敵なオルガンですね。


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