ピアノが短時間で上手くなる裏技
本番まで大して日にちがない伴奏を頼まれることがよくあった。1人なら適当に抜いてしまう手もあるけれど、アンサンブルだとそれは申し訳ない。そんな時、短時間で曲を仕上げる技を身につけた。これは24時間とはいかずとも、10時間くらいは、好きな時間にピアノを弾ける環境にいる場合、できる方法。
とにかく分割する。1日4時間弾こうと思うのなら、続けて4時間やるより、半々に分けて朝晩やる方が余程上達する。可能なら1時間ずつ4回に分ける。時間数が少なくても同じ。1時間練習したければ、朝昼晩20分ずつに分割だ。これは毎日5分練習する方が、週に1回1時間練習するよりずっと上達が速いのと似たような現象だ。
人間の集中力はそれ程持続しない。毎日何時間も弾くのが当たり前になっていると、なんとなく集中が持続しているから出来ているように勘違いしてしまうが、気を抜いている部分は抜いているのだ。そもそも集中力を極限まで発揮した状態を何時間も続けようものなら、疲弊してその他の活動はできなくなるはずだ。
ピアノを弾いていると、リラックスしつつ適度に集中しているという状態がすごく気持ちよく感じる。ただしこれは意識しないで指が動くような状態の時。現代曲の楽譜を読むような時に要求される集中力は、何時間も続くものではない。
時間分割することが上達への近道というのは、何も楽器に限ったことではないと思う。たぶんスポーツにも当てはまる。ジャグリングの練習なんかもそうだ。完全に集中するという行為は、結構脳に負担をかけるはずだ。読書だって、頭にどうでもよい考えが浮かんでは消え、結局字だけを追って、内容はちっとも入ってこないことがよくある。
集中できる時間というのは、自分で考えるよりずっとずっと短いのだ。そして可能なら、起きて最初に、最も集中力を要求されることをやるのが効率的だと思う。楽器の練習も、夜よりは朝の方がおすすめ。クラシックピアノだったら、朝はバッハで夜はロマン派なんかがいいような気がするなあ。