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演奏会にもおすすめ 弾き易く且つ弾き映えするクラシックピアノ曲

ピアノは他の楽器に比べて、大変多くの独奏曲がある。これは恵まれているとも言えるが、選択肢が広い分、逆に曲探しに手間取ることもある。今回は、頑張れば初級上程度、中級者なら苦労なく弾ける、弾き映えするクラシックピアノ曲のおすすめである。演奏会などの参考になれば幸いである。ただし、コンクールはテクニックをいかに魅せるかという別の観点から選曲が必要になるため、あくまでも一般向けという視点である。

弾き映えとはどういうことかというと、一曲の中に音楽的ドラマがあるということ。ピアノという楽器の特性を活かし、誰が弾いてもピアニスティックな表現がし易いということ。ピアノは音が減衰する楽器なので、やはり細かい音の連なりがある方が表現の幅が広がる。そして音域・強弱の幅が広いため、こじんまりしておらず、これを存分に活かす作りになっている方が本領を発揮出来る。音が少ない曲は簡単だと思うかもしれないが、それは譜読みの楽さだけで、音楽的表現は、ある程度音が多い方がやり易いものである。

弾き易さの観点は、次の3つを考慮した。
1、和声法がメインの曲。バッハのインヴェンションや平均律のように、左右をイレギュラーに動かし、左手を右手同様に使わなくてはならない曲は、相応の基礎練習と年数を積まないと難しい。その点和声法で作曲されている楽曲は、派手に聴こえても、実際はずっと楽に演奏できる。
2、不規則な動きが少ない。規則的な動きが多い曲は弾き易い。同じ音型の繰り返し、規則的なアルペッジョ、よくあるワルツの伴奏パターンなど、奇を衒ったような動きがないものは、習得が楽である。
3、曲の長さ。やはり5分を超えるような曲になると、それなりのピアノ歴が必要になってくる。音楽的まとまりを失わず一曲を弾きこなすには、経験が必要だからだ。概ね3分くらいで収まる曲を選んだ。

〈シベリウス もみの木〉
真ん中に速いパッセージの連続があるが、左右分担された動きなので、そこまでテクニックは要求されない。全般的にテクニックよりも表現力で演奏する曲であり、大人向きとも言える。派手ではないが、深みがあり、短い中で音楽的感動を作り出すことが可能。ただ楽譜通り弾いただけでは曲として成立しないので、様々な演奏を聴いて研究するのがおすすめ。シベリウスは、他にも弾き易くロマンチックな小品を多く残している。

〈メリカント ワルツレント〉
ショパンのワルツはまだ手が届かないが、それっぽい感じのものを弾いてみたいという時におすすめ。2ページの短いワルツだが、ドラマチックに演奏出来る。棒弾きしても魅力が伝わらないので、強弱やテンポコントロールを絶妙に調整することが求められる。テクニックはそれほど必要ないが、表現力は要求される。

〈湯山 昭 バウムクーヘン〉
カラフルでコミカル、魅力たっぷりなこの曲は、子どもから大人まで、演奏会やコンクールの定番となっている。易しめの現代曲を弾いてみたいという場合におすすめ。曲想はコロコロ変わるので、それなりの練習量は必要だが、次々と新しいメロディが繰り出されるので、練習も飽きない。構成、盛り上がり、テクニックの魅せ方と、ピアノの魅力を余すところなく表現出来る曲である。欠点としては、演奏会などで選ぶと他の人と被り易いということである。なお、この曲が収録されている「お菓子の世界」には、他にもカラフルで楽しい曲が満載である。

〈ギロック ワルツエチュード〉
小学生のコンクール曲としても頻繁に弾かれる。速いエチュード的な部分と、抒情的な中間部が対照的で、テクニックと表現のバランスが良い曲。コンクールでなければ、少しゆったり弾いても、充分曲の良さは伝わる。速いテンポで弾く場合、緻密に練習する必要がある。子どもの定番曲のようになってしまっているが、表現力のある大人が弾いても素敵だと思う。

〈ナザレ フォン・フォン〉
ブラジルの作曲家エルネスト・ナザレは、魅力的なピアノ小品を多く残しており、この曲に限らず、中級レベルで弾ける素敵な曲がたくさんある。優雅なワルツから、躍動感溢れる打楽器的作品まで幅広いので、好みのものを選べる。リズミックな音楽が得意な人には特におすすめ。ヨーロッパの作曲家に比べて、取り上げる人が少ないので、人と被りにくいというメリットもある。舘野泉氏の録音が有名かと思う。

〈ガーシュイン アイ・ガット・リズム〉
有名なガーシュインの小品。短いが、弾きこなすには、中級レベルでぎりぎりくらいかもしれない。かなり正確にリズムを取る必要があり、跳躍も多いので、手が大きく、運動神経が良く、リズム感に自信のある人向け。アーティキュレーションをはっきり表現しないと、なんだかよくわからない曲になってしまうので、キレのあるテクニックが必要となる。練習量も必要。

〈ジョプリン エンターテイナー〉
この曲は、ある程度手が大きく跳躍が得意ならば、表現力ゼロで弾いてもサマになる。有名さゆえに、聴く側も楽しめる。繊細な表現は無理だけど体力はあるという人におすすめ。深い感動を与えるような曲ではないが、一般ウケは良い。

他にも色々あるのだが、オーソドックスなものを選んでみた。ピアノは、他の楽器からの魅力的な編曲も多数存在するので、ぜひ探ってみて頂きたい。なお、よく楽譜に記載されている難易度は、弾き易さと連動していない場合が多々あるので、ご注意を。

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