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管弦楽器声楽の皆様へ ピアノ伴奏を依頼するときにお願いしたいこと

今回はソリストがピアノ伴奏を依頼する際に、伴奏者側からお願いしたいことを書く。身近な伴奏者に頼む時、是非思い出して頂きたい。

1、曲目を変更するくらいなら、完全に決定してから楽譜を頂きたい。
伴奏ピアニストは、渡された楽譜を初見ですぐ弾ける人が多いが、だからと言って練習しない訳ではないし、本番で、わざわざ初見で弾きたいと思う人はいない。依頼されたものは丁寧に譜読みをし、ソロ楽器がより魅力的に聴こえるよう、様々な工夫を考える。それなりに時間を費やして準備する。変更するくらいなら、最終決定するまで楽譜を渡さないで欲しい。費やした時間が無駄になってしまう。特に並行していくつも伴奏を引き受けているとき、この時間の無駄は非常に勿体無い。変更するくらいなら、直前に楽譜をもらった方が断然良い。

2、難易度は伴奏者にしか分からない。
よく、この曲は簡単だから、と言って渡してくる人があるが、譜面を見てその弾き易さを判断できるのは、伴奏者と同等のピアノ経験がある人のみである。テンポが遅いから、音符が少ないからという、見た目の印象で簡単だと考える人がいるが、否、ピアノは極端にテンポが遅い曲、音の少ないものは返って弾きにくいのである。最も弾きやすいのは、古典的な練習曲のような、指なりに規則的に動かす音符が並んでいて、音の構築が単純なものである。現代的な和音が連続するようなものは、楽譜の見た目がスカスカでも、ずっと手間がかかる。また、音が少ないものは、柱の少ない建築物のようなもので、目印が乏しい分、ずっと気を遣う。

3、1曲と言っても色々ある。
例えば、小品1曲と、ソナタあるいはコンチェルトなどの1曲は、労力が全く違う。後者は、全楽章やるとすれば実質3曲弾くくらいの労力がかかる。また、コンチェルトだと、オーケストラの譜面をそのままピアノ譜に移したようなものもある。つまり、10本の指で弾くということを考慮されていない音の配置になっている。そのままだと演奏不可能な部分がある場合、あちこち弄る必要が出てくる。これは頭も使うので、時間を費やす。だから、何の1曲なのか、最初から提示して欲しいのだ。これはきちんと言わないと、詐欺紛いである。

以上伴奏者からのお願いでした。

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