HUMAN RIGHTS WATCH より キューバで表現の自由が危機、規制強化
2021/8/25のHUMAN RIGHTS WATCH 記事の、日本語要約を載せておく。詳細記事はこちらから、英語及びスペイン語で読める。
2021/8/17、キューバ政府はオンライン上での表現の規制を更に強化する法律を制定。これはキューバ革命を守るためであると主張しており、政府の言うところの偽情報や公衆道徳に反する場合、プロバイダーなどにサービスの停止を要求するという。
キューバのネットユーザーは、公共の福祉を脅かすようなフェイクニュースを広めてはならず、そうした使用方法は禁じられる。(これはおそらく、政権の思想に反すること、批判を仄めかすことは禁止ということで、民主国家の言うところのフェイク、公共の福祉とは意味が違う)
インターネット、電話、アプリなどのサービスを提供する事業者は、そのユーザーがこの規則に違反した場合、サービスの一時停止または差し止めをする義務が生じる。事業者がこれに従わない場合は、ライセンスの失効や罰金が科される。これら表現の自由を取り締まる法律は、国際人権法に違反し、人権侵害に利用される可能性がある。また事業者が政府に個人情報を提供することを義務付けるのは、プライバシーの侵害でもあると、HRWは主張している。
このキューバの新法律は、フェイクニュースの拡散、国への批判や抗議を、脅威と見なして取り扱う。この法律の下、当然ながら、当局はこれらを検出、調査、排除する措置を取るだろう。今のところ、具体的にどのようにやるかは定かではない。しかし、広範囲に渡る監視と検閲を要求することになるだろう。
キューバ人にとってインターネットは非常に高く、またそのサービスは国営会社によって独占的に提供されている。政府は個人活動するジャーナリストや芸術家に対し、批判者へのインターネット制限を繰り返してきた。何百人もの逮捕者を出した2021年7月の抗議の際は、全国的にインターネットが停止され、SNSやメッセージサービスが制限された。
2019年に制定された法律では、社会的利益、道徳などに反する情報の拡散を禁止している。当局はこの法律を利用して、ジャーナリストらを罰したり、資料を没収したりした。
キューバ政府は批判や反対意見を封じ込めるために、今回の法律を作った模様。
以上、大体の要約。
キューバで音楽修行をして、キューバ人と頻繁に連絡を取っている方もいるかもしれないが、この情報を読むと、気を使ってやり取りをしなくては、と思う。私自身WhatsAppで頻繁に、キューバの友人とやり取りするけれども、おそらくメッセージアプリも検閲対象にするということではないか。これまでキューバ人と話す限り、中国ほど言論統制されている印象はなかったのだけれども、今後は自由に話せない事柄が増えるかもしれない。
何かにつけ、常に批判ばかりするのが最善ではないだろうし、それだけ批判するべき事柄が存在するというのも素敵な世界とは言い難いが、気軽に意見も言えないというのは別次元の苦痛だろう。好きな時に好きなことを口走るのに慣れてしまった自分には、簡単には想像がつかない。友人であれ、見知らぬ人であれ、何も気にしないで会話を楽しめる有り難さに気づく。全世界的にそれが普及しているという訳ではないのだ。
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