マウリツィオ・ポリーニが旅立った
金曜日にも検索したばかりだった。
祈るような気持ちで・・・。
まだ大丈夫かな?コンサートはキャンセルになっていないかな?
高齢だから日本に来られるかどうかはどうでもいい、
まだ演奏活動が続けられていれば。
一番好きなピアニストなのに
なぜか一番好きなんだと公言することもなく
でもやっぱり、どのピアニストよりも好きだった。
文字通り擦り切れるまで聴いたレコードは
1976年録音のショパン・プレリュード。
ショパンのプレリュード後半が現役受験時の課題曲だったので
3枚のレコードを親に買ってもらった。
ポリーニの他にアルゲリッチとアシュケナージ。
恩師は常に、アシュケナージ推しだった。
理由は「正統的」で「学生が初めて勉強するのには適しているから」。
確かにそう思う。
でも私が恋してしまった演奏は、圧倒的にポリーニだった。
生意気にも、きっとショパンはこのように演奏することを
望んだに違いないと思った。
他にもことあるごとに、多くはショパン(エチュードとか)だったけれど
この3人の演奏を聴き比べ
「はあ〜・・・やっぱりポリーニ・・・」とため息を漏らしていた。
その後、リサイタルを聴く機会を得て
初めて生のポリーニの音に触れた。
オール・ベートーヴェン・プログラム
30歳以下のチケット代で聴かせてもらえた。
電気が走ったような衝撃だったことを
今も鮮明に覚えている。
この時から一番好きなピアニストから
私にとっての唯一無二のピアニストに格上げ。
その後月日が経ち
レコードからCD、iPod、サブスクで音楽を楽しむというように
時代が変わっていくにつれて
世界との距離が狭まり
会ったことはないけれど、SNSを通じて
ミラノ在住のマウリツィオという名前の
音楽や文学を語り合う友達ができた。
こうして私はますますイタリアについて興味が湧き
イタリア語をかじったり、イタリア人の友人が増えたりと
自分の世界が広がったことを感じている。
原点にはピアノがあり
道筋にはポリーニがいてくれたことを心から感謝している。
亡くなったという報にショックで
昨夜から頭の中はポリーニ一色。
何も手につかないけれど
感謝の気持ちを書き残しておきたかった。
アバドが亡くなった時も、1週間立ち直れなかったから
今度は1ヶ月は引きずるかも・・・と思いつつ
ポリーニはアバドやミケランジェリとの再会を
喜んでいるかもしれない。
Buon Viaggio Maestro.
Mille Grazie di cuore・・・・・
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