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20201109 The Illegal Eagles Live & symphonic

イーグルスを究極に追求したバンド、「違法」イーグルス

イーグルスの再現をパッケージした「違法!?」バンドのライブ盤。
音の再現度に関してほぼ本家と近い。演奏フィジカルで言えばこちらが若い分躍動感がある。

この「本家の領域」に到達するには相当の年月も要する。技術も機材も予算を惜しみなく投じており、他の追随を許さない。

1994年のMTVライブ「Hell Freezes Over」以降の近代イーグルスのサウンドが21曲再現されている。
2019年12月、ケンブリッジのコーンエクスチェンジでのライブ作品。

アマゾン・ミュージックとspotiyfy、YOU TUBEで視聴可能。

2020109 The Illegal Eagles Live & symphonic

曲目

Take It Easy
Seven Bridges Road
Midnight Flyer
Tequila Sunrise
Peaceful Easy Feeling
New Kid in Town
Love Will Keep Us Alive
I Can't Tell You Why
Witchy Woman
One of These Nights
Boys Of Summer
Life's Been Good
The Heart Of The Matter
Wasted Time
Take It To The Limit
Desperado
Heartache Tonight
Life In The Fast Lane
Last Resort and Hotel California

曲目解説

Take It Easy
Seven Bridges Road
Midnight Flyer
Tequila Sunrise
Peaceful Easy Feeling

上記5曲は初期のカントリー&アコースティック作品を並べている。本家のスタジオ盤の牧歌的なテイストでは無く、ニュー・カントリーのアーティストが近代的に演奏している表現だとイメージしやすい。

アコースティック・ギター、マンドリン、バンジョーの弦楽器音が粒立ちと分離が良く、ブライトでボーカルの音も抜けている。

1曲目の「Take It Easy」から「Hell Freezes Over」に似たドライブ感を追体験できる。
「Seven Bridges Road」の完璧なアカペラから続く「Midnight Flyer」「Tequila Sunrise」の流れもイーグルスだ。

「Peaceful Easy Feeling」のギターのテレキャスターだが、これ本家のバーニー・レイドンが使う(パーソンズ&ホワイトオーサライズの)ストリングベンダー・テレキャスターを使っていないが、演奏が肉薄している。
※推測だが、ヒップショットも使わず、エフェクターのコンプレッション・サスティナーを使ってベンディング効果を狙ってるのかなど妄想が尽きない。

New Kid in Town
I Can't Tell You Why
Love Will Keep Us Alive

​カントリー・ロックのセットリストから(当時の)コンテンポラリー・AOR的ナンバーの「New Kid in Town」が自然と流れに沿っている。
ボーカルがどちらかと言うとグレン・フライでなくドン・ヘンリー寄りに聴こえる。本家よりコーラスを多めに被せてくるゴージャス仕様だ。

​「I Can't Tell You Why」「Love Will Keep Us Alive」とティモシーBシュミットのボーカル・ナンバーを連続させているが、もろに「Hell Freezes Over」の再現を狙っているのが曲順だけでも分かるし、実際に完コピだ。

Witchy Woman
One of These Nights

「Witchy Woman」で初期ナンバーに戻る。ブルース・ロックのナンバーなのでここも前曲との流れが自然だ。ここでMCが入るがドラマーが元ブロー・モンキーズだとアナウンスしている。

ドン・ヘンリーのボーカルにかなり似せて来ている。
聴きどころはツインリードで完コピだ。2本のエレキが左右で聴こえるが、近代サウンドなので両方とも音が太い。本家のバーニー・レイドンの乾いたテレキャスサウンドではない。

太すぎるので1本はテレキャスターなのは分かるが、ひょっとするともう一本はレスポールとかハムバッカー系のエレキかも知れない。。色々推測しながら分析して聴いている。

「One of These Nights」も間髪入れずに入るのでドンフェルダーのレスポールサウンドが再現してるので、案外前曲の「Witchy Woman」の本家にないレスポールのサウンドの推測はあながち間違っていない可能性も有る。※映像が見れないので聴いた所感。
この選曲も外せないだろうし、ドン・フェルダー加入期のファルセットのコーラスも見せ場としては持っていきたい気持ちも分かる。

そして元ブロー・モンキーズのドラマーの本家ドン・ヘンリー特有のもっさりしたドラムを上手く踏襲してイメージを保っているのに感心する。

Boys Of Summer
I Dreamed There Was No War
Life's Been Good

「Boys Of Summer」ドン・ヘンリーの1984年のソロ曲。1980年代を代表するナンバーでもあるのでセット・リストに組むのも自然の成り行きだ。
現在までにカバー曲も多いので、恐らく良いとこ取りし、最終的に自分達のバンドのテイストに仕上げている。

「I Dreamed There Was No War」は贅沢にオーケストラのインストナンバーで次のジョー・ウォルシュのソロ・ナンバー「Life's Been Good」にブリッジ的に繋がる。

ジョー・ウォルシュ&ドン・フェルダーのツインのレスポールサウンドが極太に左右で鳴っている。近代サウンドなので音がとても太い。ビンテージ感が希薄と言い換えることも出来る。

The Heart of The Matter
Wasted Time
Take It to The Limit
Desperado

ここは全てでオーケストラが入ってくるためバラード・ナンバーを集中投下している。
本家がツアーで行うであろう収容数の会場でないと重厚で平等な分離した音が出せない。各曲との情感たっぷりに歌い上げている。

Heartache Tonight
Life In the Fast Lane
Last Resort and Hotel California

終盤は本家とほぼ踏襲したセットリスト。

会場最後の盛り上がりを頂点まで上げてからの必殺ナンバーのホテカルのとどめの一撃で完全終了という流れが曲順を読むだけで分かる。
ホテカルを皆聴いてそして鷲ロスになって家路に着くまでがワンセットになっているのは世界共通でもある。

「Heartache Tonight」の分厚いスライド・ギター、「Life in the Fast Lane」のレスポール2本のハード・ファンク・ナンバーで濃厚に攻め上げてからの 「Last Resort 」は劇場映画のような展開。このラス前のナンバーは「泣け」と言わんばかりの情感(これで良い)で仕上げて来る。

そして「問題!?」のオーラスのホテカル。。


アコースティック・ギターでうっすら掻き鳴らしてからのトランペットのソロが、サボテンを思い浮かべるスパニッシュな冒頭部で構成される。

そこからの12弦アコースティック、レギュラーのアコースティックにコーラスをかけたエレキと12弦SGの7カポのエレキとギターを幾重に重ねたミルフィーユ状態。本家のイメージを損なわずここは完全踏襲する。

「Welcome to the Hotel California」のサビ部分までの流れもカッコよく完璧。。バックはオーケストラも被さり豪華絢爛。

そして絶対に演奏の失敗もさることながら、イメージ損失も絶対に許されないジョー・ウォルシュ&ドン・フェルダーのツインのソロ。。



無事完コピ!


視聴後のカタルシス「精神の浄化」もブツ切りで終わる余韻に確かに存在した。


そしてスタンディング・オベーションの万来の拍手。。 終了。


まとめ


アメリカ・ポピュラー音楽の文化遺産的存在のイーグルスだからこそ成立する手法

大きな会場や、人材や予算など長い期間を見据えた「汎用性のある」運営が
出来るとしたらイーグルス以外に見当たらない。持続させるエネルギーも尋常でなく、真似が出来ない。

本家のイーグルスもライブに触れる機会もほぼ無くなってしまった現在、本家のバンドの生演奏の魅力を伝えるという意味で貴重な存在。

ミュージカルのようなカバー・コピーバンド、トリビュート・バンドの枠を色々超えたライブ盤。

終わり


追記
このバンドはイーグルス以外に1970年代のウエストコースト音楽のカバー音源も聴ける。
ドゥービー・ブラザース、ビーチ・ボーイズ、TOTO、スティーリーダン、リトルフィート、ジャクソン・ブラウンなど「UNDER THE INFLUENCE」として発表している。
しかし、投じる予算や運営規模など大きく舵を切っているのでこの団体の経営手法も興味深い。

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