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#79 グリーン・デイ『セーヴィアーズ』

服部さんへ
 エルミーンの新作紹介、ありがとうございました。正直、名前が挙がっていても、さして気に留めていなかったのですが(失礼!)、楽曲に声、歌唱力、表現力と、とても才能を感じさせますね。同時に、全編に漂うメランコリックな空気感に、どんな人なのか興味がそそられました。
 どうやら僕は、R&BではUKアクトのほうがフィットするようです。街の雰囲気とか、人のたたずまいや実際に接した感じから、英国人は日本人に気質が近いように感じてきたので、そんなところも関係あるのかもしれません。
 今、聴きながら書いているのですが、とりわけ声が好きですね。熱すぎないというか、重すぎないというか。楽曲では、僕はダントツでタイトル曲です。終盤の<僕は〜、僕は〜、僕は〜>という、懺悔とも誓いとも思える繰り返しに、強烈なカタルシスを得ました。まだEPですが、アルバムも聴いてみたいです。
 さて、今回の僕からのレコメンドは、ネオ・パンク番長のグリーン・デイです。

グリーン・デイ『セーヴィアーズ』

 2023年にスポティファイでもっとも再生されたアルバムは、1位がバッド・バニー『ウン・ベラーノ・シン・ティ』、2位がテイラー・スウィフト『ミッド・ナイト』、3位がシザ『SOS』。もっとも再生されたアーティストの1位がテイラー・スウィフト、2位がバッド・バニー、3位がザ・ウィークエンドだった。
 まあそうだろうなあとか、なんだかなあとか、とにかくもうロックは違うってことなのねとか、いろいろ考えたりもしていたのだけど、グリーン・デイのこのニュー・アルバムを聴いて、そんなことはどうでもよくなった。ポップでキャッチーでエッジーでメロウで、楽しくてカッコよくて切ない、グリーン・デイ以外の何者でもないグリーン・デイが、ここにいる。パンク万歳! ギター・ロック万歳! ロックンロール万歳!

 新世代女性人気アクトによるポップ・パンク再評価を意識してか、せずしてか(意識しているわけなどない)、バラードを含めてポップ・パンク・クラシックスとでも呼びたくなる珠玉の15曲、トータル46分。うれしいのは、時代性とかトレンドとか、売れるとか売れないとか、そんなものたちとはまったくもってかかずらっていないこと。だって、パンクだもん。
 グリーン・デイのキャリアのすべてが、ここに詰まっていると言っても、決して過言ではないだろう。何から手を出していいかわからないという、ビギナーのファンは、まずはこの『セーヴィアーズ』から聴いてみてください。絶対に損はさせません。
                              鈴木宏和


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