見出し画像

#98 リアナ・フローレス『フラワー・オブ・ザ・ソウル』

鈴木さんへ

 私も大好きになりました。ポップで、ドリーミングで、かわいくて、体が横に揺れるような、そして、「伝統的なソングライティングを祝福したい」という言葉が実感できるような音楽ですよね。鈴木さんの言う『スウィート・ヴァイヴレーション』からの3曲、いいですね~。古い言葉で言うところの胸キュンです。
しかもこの兄弟は、20代半ばですか。両親だって50代とかだったら、60年代の音楽は同時体験では聴いていないのでは、と思いますが、これもストリーミングで育った世代ならではなんでしょうかね。爽やかだから、この夏の酷暑を乗り越えるのにすごく貢献してくれそうです。
 でも、またアートワークの話になっちゃうけれど、なんでこのジャケットなんでしょうか。ザ・レモン・ツィッグスってもうピッタリな名前だと思うから、余計にもっと音楽と直結するようなデザインでもいいのではと思っちゃいますが、この発想も古いんでしょうかね~。
 ところで、今週の大きな話題と言えば、セリーヌ・ディオンのドキュメンタリー映像『アイ・アム・セリーヌ・ディオン~病の闘いの中で』でしょうか。原稿を書くこともあって、日本配信の25日16時ぴったりに観ましたが、想像を遥かに越える内容でした。壮絶ではありますが、彼女の本質を知るためにも、また、この難病を知るためにも観る価値ありなので、みなさんにオススメしたいです。
 さて、今回私がご紹介するのは母親がブラジル人というUK出身のシンガー・ソングライター、リアナ・フローレスです。まさに今日メジャー・デビュー・アルバムがリリースとなりました!

リアナ・フローレス『フラワー・オブ・ザ・ソウル』

 リアナ・フローレスも20代半ば。インディーズからリリースした曲がバイラル・ヒットとなったこともあって、この『フラワー・オブ・ザ・ソウル』でメジャー・デビューとなった。いわゆるZ世代だけれど、3分以下の曲でイントロなしでいきなり歌い始めるタイプではない。彼女もきっとザ・レモン・ツィッグス同様に伝統的なソングライティングを愛しているひとりだと思う。
 UKののどかな田舎町で生まれて、成長する過程で母親の祖国ブラジルのボサノバを聴いて育ったという。その影響が全編で見てとれる。まずは、洒脱かつ先鋭的なアコースティックサウンドだ。とりわけ個人的には『NOW AND THEN』という曲に、大好きなチェリスト、ジャキス・モレレンバウムが参加しているのがうれしい。そして、囁くように歌うヴォーカルと、ポエティカルな歌詞。人生や季節の移ろいをテーマにしたという歌詞は、情景が浮かび、どこか儚さが心地好く感じられる。

 リアナは英語で歌っているけれど、ポルトガル語で書かれた歌は、一般的に日本語に訳すと、シンプルにみえても、表現がポエティカルで実に奥深い世界を持っていることが多いけれど、その影響も受けているように思う。だからこそ、聴けば聴くほど味わい深くなってくるんだと…。
    こういうアーティストがTikTokなどのSNSから広まるということは、若い世代だって斬新だったり、過激だったりする刺激だけを音楽に求めているわけじゃないと実感できる。世代を超えて親しまれるアーティストである。
                             服部のり子




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?