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#42 東儀秀樹『NEO TOGISM』

鈴木さんへ
 そう言っていただいて、救われます。音楽は、いろいろな救いになるのに、それを仕事としているからでしょうかね、今はその境地になれず、必要最低限の作品しか聴いていない状態です。なので、パラモアもごめんなさい。なるべく早く日常生活に、と思い、レギュラーの仕事以外に取材の依頼を受けたのが東儀秀樹さんでした。彼にインタビューするのは初めてではなかったので、大丈夫かなと思いましたが、集中力に欠けていたような。ただ、ユニークな作品なので、今回取り上げることにしました。

東儀秀樹『NEO TOGISM』

  雅楽とプログレッシヴ・ロックを融合させた作品。普通なら「意欲作」と表現するところだけれど、東儀秀樹にとっては好きな音楽がごく自然に融合した作品となる。もともと70年代のプログレが好きで、デビュー前から雅楽の楽器、笙、篳篥、龍笛とロックを融合できないかと模索していたという。それが今回、コロナ禍で時間がふんだんに出来たことで、楽しみながら作曲に取り組んだそうだ。
 編成としてはオリジナル楽曲中心だが、カヴァーが2曲ある。クイーンの『Love of My Life』と四人囃子の『ハレソラ』だ。後者にはメンバーのドラマー、岡井大二が参加していることが特筆しべき点だけれど、前作でも演奏したクイーンは、「フレディの作る曲も、彼の歌い方も、音と音の間の滑らかな部分を大切にするような作りで、そこが篳篥の醍醐味と共通する」ということもあって、篳篥で歌いたくなる曲なのだそうだ。ふ~んという感じで、東儀さんを介して、クイーンの新たな魅力を知ることになった。


 雅楽の楽器以外にギターやドラム、ベースも演奏できるから、ミュージシャンを迎えることなく、いわゆる宅録でレコーディングを行える。ご自身も「学校で基本を学んだエンジニアには劣るとわかっているけれど、宅録は自分のタイミングで出来るから」と言う。
 ジャンルを超えたボーダーレスな実現と、ミニマムなレコーディング姿勢。ここに今の時代を象徴する価値があるように思える。これだけ海外から観光客が増えていて、アニメなどのポップカルチャーとか、お菓子とか、食事とかに注目を集めるなか、日本の伝統文化を垣間見ることが出来る東儀さんの音楽にも触れて欲しいなと、爆増している観光客を見ながら思っている。
                             服部のり子



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