#95 スラッシュ『オージィ・オブ・ザ・ダムド』
スラッシュ『オージィ・オブ・ザ・ダムド』
ブルース愛好家の知人が、B.B.キングやバディ・ガイ、ジェフ・ベック、ミック・ジャガーらが米ホワイトハウスで競演&共演した(オバマさんもマイクを手に!)ライヴ映像作品を、「めちゃくちゃいいから」と貸してくれた。これが本当に素晴らしくて、ブルースのライヴっていいな〜と思っていたら、スラッシュがブルースをカヴァーしたとのこと。しかも、実際のライヴではないものの、スタジオでのライヴ録音アルバムなのだとか。
ブライアン・ジョンソン(AC/DC)、スティーヴン・タイラー、イギー・ポップほかゲストも豪華なら、パフォーマンスも聴きどころだらけなのだが、個人的なお気に入りは、ホワイトハウスでも名演が光ったゲイリー・クラーク・ジュニアとの「クロスロード」だ。
くだんの知人が、クラプトンはもう「レイラ」のあのリフは弾けないと言っていて、もしや「クロスロード」も? と一抹の寂しさを覚えていたところに、こんなにも胸のすくギターとヴォーカルが聴けてうれしい限り。
話題性で言うなら、ブライアン・ジョンソンが歌い、スティーヴン・タイラーがハーモニカを吹いた「キリング・フロア」だろう。映像も必見!
イギー・ポップのブルース歌唱は超レアだし、クリス・ロビンソン(ブラック・クロウズ)の、まさに燻し銀のヴォーカルも聴き逃せない。意外なところでは、デミ・ロヴァート。こんなに歌える人だったとは、お見逸れしました。
今作に関するインタヴューで「音楽、もしくはギターで、エモーショナルなレヴェルで人に訴えかけることができるということは、素晴らしい。今のメインストリームに、そういうものは少ない」と語っていたスラッシュ。まったくもって同感であります。
鈴木宏和