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#73 ビリー・ジョエル 『ビリー・ザ・ベスト:ライヴ!』
服部さんへ
ザ・ウォー・アンド・トリーティのご紹介、ありがとうございました。なんとまあ、この人たちだったんですね、ザック・ブライアンのアルバムに参加していたのって。実は、ザックの新作中の個人的No.1が「Hey Driver」でして、「客演もめちゃくちゃいいんだけど、誰!?」と思っていたんです。
アルバムも出ていたなんて。しかも、なんて素晴らしいんでしょう。冒頭の「Lover's Game」を一聴した瞬間、80年代末に目撃できた、ローリング
・ストーンズとティナ・ターナーの共演が思い浮かびましたよ。以降も琴線やられっ放しで(特にM-3、5、7が好きです)、スウィートな雰囲気を醸すあたりはマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルとかぶったりも。
なんなんだろう、このヴィンテージ感は。いや、“ヴィンテージ”には古いというイメージもあるから、“オーセンティック”ですかね。きっと、ブルースやソウル、R&Bを愛してやまない人たちなんでしょう。アルバムのジャケット写真がセピアなのも、納得というものです。
さて、今回はリイシューや企画盤が多く、いい機会だと思ったので、ビリー・ジョエルの日本独自企画ライヴ盤でいかせていただきます。
ビリー・ジョエル『ビリー・ザ・ベスト:ライヴ!』
何を隠そう、僕が洋楽ロックに目覚めるきっかけとなったひとりが、ビリー・ジョエルなのであり、中学の時に友達が貸してくれた『ソングス・イン・ジ・アティック』というライヴ盤に、ワクワク、ゾクゾクしまくった記憶が今なお鮮明に残っている。
「オネスティ」「素顔のままで」「ピアノ・マン」のようなバラードのイメージが強いビリー・ジョエルだが、ファンはご承知の通り、めちゃくちゃロックな側面も持っているところが大きな魅力。そういう意味では、バンドとソロという違いこそあれ、楽曲のクオリティの高さも含めて、ビートルズに匹敵するレジェンドと言っても過言ではないと、僕は思っている。
来日公演に合わせてリリースされた『ビリー・ザ・ベスト:ライヴ!』は、世界/日本初CD化曲を多数含め、1970年代から2000年代までの名演32曲を収めたもの。ビリーの楽曲がいかにライヴ映えするか、何よりビリーがいかに優れたライヴ・アーティストであるかを教えてくれる好企画盤だ。
というわけで、収録曲の中からロックな推し曲2曲を、お試しいただきたい。1曲目は、公式に『ソングス・イン・ジ・アティック』の音源(出だしのサイレンの音も自分の中では曲の一部です)がアップされていたので、それをぜひ。曲の作り自体というわけではなく、ライヴだとロックに大化けするダイナミズムを秘めた名曲だと思うので、取り上げたいと思っていた。スタジオ・ライヴ風の2曲目は、本人自らロックをやりたくて作った、これまた名曲。ともに、『ビリー・ザ・ベスト:ライヴ!』のヴァージョンと聴き比べてみても面白いと思う。
実に16年ぶりに実現した来日公演は、東京ドームにて、一夜限り。ライヴ引退説も囁かれているビリーだけに、日本のファンにとって万感のステージとなることは間違いなさそうだ。
鈴木宏和