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#61 オリヴィア・ロドリゴ『ガッツ』
服部さんへ
確かに、タイトルのフォントやレイアウトも含めて、いいジャケットですね。そして、愚直なまでにシンプルなタイトルも好きです。
これって、ジャンルで言うならば、フュージョンということになるのでしょうか。いや、ジャズなのかな? ともあれ、耳にもアタマにも優しいというか、とてもリラックスできます。気持ちがいいです。
知っている曲も多いので、まさにハートフルでソウルフルな解釈を楽しみながら聴いていたところで、妙にグッときてしまったのが表題曲でした。たった2分の曲なのですが、音色と旋律に琴線が揺さぶられました。ネイザン・イーストのオリジナル曲なんですね。本人の心根の温かさのようなものが伝わってきて、ベタで恥ずかしい言い方ですが、やっぱり音楽っていいなと思いました。
『往復書簡』をやっていなければ、まずできなかったであろう、貴重なリスニング体験でした。
オリヴィア・ロドリゴ『ガッツ』
「ドライバーズ・ライセンス」という曲で出会い、二度見状態で気になって以来、何かとチェックしてきたオリヴィア・ロドリゴだが、この2作目のアルバムで、自分の立場がハッキリした。断固支持! 作風的にも紛れもないロック・アルバムだし、何より、ずっと薄々感じていた彼女のロック的なアティテュードが、露わになっているのだ。しかも、ことごとく曲がいい。
このMVは、数週間前に一聴して以来、ハマっているリード曲。
オリヴィア・ロドリゴは、闘っている。相手は、かつて自分を振った男だけではない。友達ヅラをして寄ってくる同世代かもしれないし、うまい汁を吸いたい大人だらけの音楽業界かもしれない。そもそも居場所がないと感じているのならば、今生きているこの世界や、そんな自分自身と対峙しているのかもしれない。とにかく、孤高のファイティング・ポーズが、聴くほどに浮かび上がってくるのだ。
インタビューをしたことはないが、自分だけの世界(闇?)を持っているというか、きっと一筋縄ではいかない人のような気がする。そう、彼女が敬愛するアヴリル・ラヴィーンがそうであるように。インタビューしたいかと聞かれれば、仕事でではなく個人的に、とてもしたい(なんだそれ?)。僕は、生きづらさを抱えている人に惹かれてしまうのだ。
グランジにポップ・パンク、エモ、2020年代ヴァージョンのオルタナなど、参照サウンドが多彩なら、ラップやトーキングを含むヴォーカルも、思っていた以上に(スミマセン)高ポテンシャル。『ガッツ』だなんて、タイトルもいいじゃない。本当は『ファッ●』にしたかったのではないかと思うのだけど、うがちすぎでしょうか。ジャケもよし!
鈴木宏和