#65 ブリンク 182『ワン・モア・タイム』
ブリンク 182『ワン・モア・タイム』
アルバムに先行して発表されたタイトル曲を一聴した時、泣きそうになった。英語だから、歌詞の意味はなんとなくしか理解できない。だけど、なんとなくわかれば十分。なんて素晴らしい曲なんだ。バンドの来し方に想いを馳せるようなMVも、しかり。全裸で街中を走り回っていた、おバカなあんちゃんたちは今、まさに酸いも甘いも噛み分ける大人になり、こんなにも美しい地平に立っていたのだ。
な〜んて、美談だけ書かせて終わるようなバンドではないのですよ、ブリンク 182はやっぱり。こっちのMVではラモーンズに扮して、彼ららしくふざけ倒しながら、オマージュを捧げている。もう最高だ。
ここに挙げた両極端な2曲の圧倒的な完成度の高さが、オリジナル・メンバー3人が揃った作品としては12年ぶりとなる、今回のニュー・アルバムの出来映えを物語っている。
活動休止/再開、脱退/復帰、飛行機事故(乗客乗員6名のうち4名死亡)、癌闘病など、紆余曲折を経て彼らは、大出世作『エニマ・オブ・アメリカ』を彷彿させながらも、バンドの“今”を伝えるという、傑作ポップ・パンク・アルバムを作り上げた。全17曲、あっという間の幸福過ぎる45分を、浴びるようにご堪能あれ。
鈴木宏和
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