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#128 スヌープ・ドッグ&ドクター・ドレー『ミッショナリー』

鈴木さんへ

 フランツ・フェルディナンドって6年ぶりの新作なんですね。20年前に彼らがデビューした際、日本ではソニーが力を入れていたので、たしか武道館だったと思うのですが、観に行きました。でも、その時は、個人的にあまり興味がなかったけれど、この新作は、ワクワク感があってスキです。それからこのキーボードって、ジュリアン・コリーなのかな? 7曲目の『Tell Me Should Stay』のイントロの優しい演奏にスキが何個も増えました~。
 話は変わりますが、今JAL機内放送のナレーション付番組の制作をしていて、映画『名もなき者』絡みでボブ・ディラン周辺をチェックするなかで、バディ・ホリーとか、ピート・シーガーを聴き直しているんだけれど、新鮮な感動を覚えています。映画公開に合わせてサントラも出るようなので、その時にあらためて取り上げたいと思っています。加えて、先ほどこの映画がアカデミー賞で作品賞や主演男優賞などにノミネートされたことを知りました。
 さて、今回は、自分でも意外なのですが、スヌープ・ドッグ&ドクター・ドレーの『Missionary』をご紹介します。ずっとFxxKが飛び交うヒップホップは、好きになれなかったんだけれど、ラジオ番組『My Jam』でブラック・ミュージックをかけるなかで、サンプリングの面白さとかを知り、また、大好きなジョン・バティステがインタビューで語った「ブラック・ミュージックって、その人が生きている境遇を表現する音楽」という言葉で見る目が大きく変わりました。ということで、サンプリングのセンスに長けたこの2人のコラボ作品をピックアップします!
 トップの写真は、2022年のスーパーボウルのハーフタイムショウのもの。このパフォーマンスも大いに盛り上がり、番組で細部までチェックしました。

スヌープ・ドッグ&ドクター・ドレー『ミッショナリー』

 30年ぶりの共演作だという。ビルボード誌の記事によると、ドレーは「ただ2人で音楽を作るのを楽しんだ」と語っている。それが伝わってくるし、あのハーフタイムショウを思い起こさせるのがいい。それが選んだ理由のひとつ。さらにサンプリングのネタが多彩だし、ゲストもいい。
 たとえば、1曲目の『Fore Play』で、ふと聴き覚えのあるフレーズが流れてきて、チェックしてみると、スタイリスティックスの72年のヒット曲『愛の世界』がサンプリングされている。洗練されたトラックのセンスのなかに時間の共有というか、若き日の思い出が蘇ってくる一片を見つけ出せるうれしさ。これが結構ときめくもの。
 また、意外性のあるところでは、④『Hard Knocks』にはピンク・フロイドの『Another Brick in the Wall(Part II)』、⑥『Last Dance With Mary Jane』にはトム・ペティの『Mary Jane Last Dance』を、さらに⑨『Another Part Of Me』ではポリスの『孤独のメッセージ』をサンプリングしている。こういうロックも聴いていたのかと、ここでもヒップホップに対する先入観が溶けていく。

 さらにゲストで言えば、ハーフタイムショウで共演した50セントがいたり、⑤『Gorgeaous』ではジェネイ・アイコが歌っているんだけれど、まさに彼女の声が華やかでゴージャスというのも発見だった。そして、声と言えば、そもそも威嚇的な鎧をまとったスヌープ・ドッグ。実際に20数年前にLAですれちがった時も、全身にトゲが生えているような他を寄せつけない雰囲気だったので、親近感を抱くことはなかったけれど、ハイトーンの声はいいと思ってきた。ドクター・ドレーの声もそう。魅力的な楽器を恵まれた2人だと思う。
 最後にやるなら徹底的に、の精神が垣間見えるのが新作のショートフィルム。基本的にクライム系なので、怖すぎるシーンもありますが、一番に思うのはどんだけ制作費がかかっているのかっ。
                            服部のり子

 


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