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2章第20話 母の覚悟と別れ
「ツキヨタケの軍勢は理性のない凶暴な軍団なので、基本的に統制はとれません。なので、逃亡先が見つかるまでもっと時間がかかると考えていました。しかし……」
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「狡猾で凶悪な大型きのこのオオヒラタケが、刺客として放たれていました。バラバラに襲撃してまわるツキヨタケの軍勢を鎖に繋いで統制することで、効率的にわたしたちを捜索したようです」
「そのせいで、ヤツらの捜索スピードはわたしたちの想像以上に速く、タマニータウンで助けを求めるチャンスすらありませんでした。追手の数を見た母は少し顔をしかめて静かに言いました。『アンズリーナ、もはやここまでのようです』と……」
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「聡明なお母さまが諦めの言葉を口にしたのを見て、わたしはついに駄目だと、ここまで逃げてきたけど、ついに死んでしまうのだと思いました。ですが――潜伏していた小屋の戸を開いて外に出ると、お母さまは言ったのです」
『私が彼らを引きつけます。あなたはそのあいだにお逃げなさい』
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『いやよ!お母さま!!』
『さあ、早く!!!アンズリーナ、行きなさい!』
「いつも優しかったお母さまが、初めて声を荒げたのです。
……わたしは、わたしは、覚悟を決めた母を引き止めることもできず、ただ泣くことしか、できません、でし、た――」
そこまで話すと、アンズリーナはぺたりと地面に倒れてしまいました。
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「あわわ、大丈夫ッポル?ケガしたッポルか?」
「ムム……恐怖のせいか、安心したのか、気を失ってしまったようだね?
つらいことを思い出すのは心に負担がかかるのだよ。少しこのまま休ませてあげよう」
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