2章第19話 暗い月夜に降る災害
「わたしの名前はアンズリーナ。アンズ王国のものです」
絶体絶命のところで助かった興奮が冷めてきたのか、アンズリーナと名乗った彼女は少し落ち着いて事の顛末を語り始めました。
「アンズ王国はとても穏やかなところです。わたしも平和に暮らしていたのだけれど……ある日突然、恐ろしいキノコたちに国が襲われてしまったのです」
よほど恐ろしい光景だったのでしょう。
思い出すだけでぶるりと身が震え、鮮やかな橙色の体が白く萎れるようでした。
「わたしたちを襲った首謀者は、伝説の悪魔ツキヨタケ!ヤツらは暗くなると不気味に光り、力が増すようです。夜分に襲撃されたわたしたちは、暗闇の中でなす術もなく……国は一気に彼らの手に落ちてしまいました」
「わたしと母は命からがら逃げ出すことに成功しました……。しかし、ツキヨタケはたくさんの配下にわたしたちのことを追うように命じたようなのです。
追手たちをかわしながら母とふたりでなんとかタマニータウンまで辿り着き、ひっそりとこの街で身を潜めていたのですが、それも束の間のこと……。ついにヤツらがこのタマニータウンまでやってきてしまったのです」
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