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2章第8話 タマニータウンへ

 さて、物語はポルチーノくん一行へと戻ります。

「ムッシュ、ここは……?」
「ここが最初の目的地、タマニータウンなのだよ」

 ムッシュの案内で辿り着いたのはタマニータウンという都市でした。
 ポルチーノくんは田舎のイエロー村で生まれ育ち、村の外には出たことがありません。大規模都市のタマニータウンのことなど想像もできず、街に入る前からドキドキです。
 と、新たな世界に胸を踊らせるポルチーノくん、道々に転がった白い物体に気づきます。

「この転がってる白いやつは何ッポル?」
「フム。まったくそんなことも知らんのかね。これはタマゴタケというキノコなのだよ」

「最初は白い楕円の卵型で、殻を割るように赤い頭が突き出してくる、とても可愛らしいキノコなのだよ」

 自慢げなムッシュの解説を聞きながら、なるほどと周囲を見回すポルチーノくんとジュニア。辺りには卵型の幼菌から成長途中のもの、そして限りなく成菌に近いものまで様々ありました。
「ふーん面白いッポルね~……あれ?」

 ふとポルチーノくんとジュニアはあることに気づき立ち止まります。2人が立ち止まったのはほぼ成菌のタマゴタケの前でした。
 平べったく広い傘、ツバと呼ばれる内被膜、下部にはどっしりとしたツボ――色こそ違うものの、このフォルムは。

「この形って、僕たちの村を襲ってきた”あいつ”に似てないッポルか?」
「ふむ、よく気付いたであるな。君たちと私の村を襲った”あいつ”は、絶滅したはずのテングタケという種族なのだよ。そして実はタマゴタケとは遠い親戚にあたるのだよ」

「なるほど~。ムッシュは物知りッポルね!」
「まったく……諸君らはそんな事も知らなかったのかね?まぁ知らないことを素直に認めるのはよいことなのだよ。わからないことはまたいつでも聞きたまえ」
 褒められると悪い気はしないムッシュ。
 言葉とは対照的に、若干照れくさそうに、そして口元はニマニマと嬉しそうに頷きます。
「さぁ、講義はここで一旦終わりだ。街の中心部に向かうのである」

 そう言って、ムッシュを先頭に一行は大小のタマゴタケたちが生える道をどんどんと進んでいきました。

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