人間関係
目が覚めた瞬間から何かの歌が耳にこびりついて離れなくなる現象をイヤーワームと呼ぶ。この間、ひたすら大滝詠一を聴いていたので、目覚めの一服をしている最中に、大滝の涼しげな歌声が頭の中をしばしば通り抜けていった。ちなみにここ数日のイヤーワームはもっぱら「銀色のジェット」だった。
ライブのようなイベントがあった翌日、そこで会った人たちの声が耳にこびりいて離れないというイヤーワームの亜種のような現象が起こる。他人の声が頭の中でずっと響いているから、ほとんど幻聴が聴こえているような状態だと言って差し支えない。幻聴といえども「やれ……やれば楽になれる……やれ……やってしまえ……」といったフィクションによく見られるような内容ではないから、それほど困らないとはいえ、人の話し声ということもあり、音楽が頭から離れない場合よりもはるかに生々しく、それなりにストレスも大きい。イメージとしては脳の皺に他人の声がこびりついているような感じだ。爪楊枝のようなものでそれらをほじくり出して、ティッシュの上に集めたい欲望に駆られる。
今週は月火水木金と原稿の締切が続くタフな週となった。なんともありがたい話であるが、「物理的に不可能なのでは?」という懸念がないわけではない。しかしやるという選択肢しか残されていないからただやるのみ。幸いなことに、土曜、日曜と予定がなかったからこれを死守し、原稿書き書きに時間を充てた。先週の金曜から『プリシラ』や『No. 10』など観に行きたい映画の公開が始まっていたが、どちらも見送った。
水曜、木曜と二日連続でライブがあり、疲労が蓄積していたものの、家に籠もってひたすら原稿に向き合っていたらむしろリフレッシュになったような気がしないでもない。ソーシャルバッテリーが底をついたときは、家に籠もり、誰にも会わず、連絡も無視し、SNSと距離を置き、何か自分が没頭できるものに取り組むのが一番の回復になるのかもしれない。今回はそれが仕事だったわけだが、ゲーム、読書、お菓子作り、編み物、プラモデル制作、絵画、DIYといった趣味に没頭するのも良いと思う。
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