見出し画像

トリプルファイヤーの音楽について

音楽関係のイベントで出会った初対面の人に自分がトリプルファイヤーというバンドの一員だと明かすと「あ、タモリ倶楽部の」という反応をいただくことがたまにある。あ、タモリ倶楽部の。何も間違っちゃいない。この上なくアキュレイトなディスクリプションである。

たしかにトリプルファイヤーはタモリ倶楽部でお馴染みのバンドだ。しかし、タモリ倶楽部がトリプルファイヤーの本質かと問われたら、それは違いますと答えたくなってしまうのが当事者としての正直な心境である。では、トリプルファイヤーの本質とはなにか。それは音楽活動にほかならない、と私は考えている。曲を作ったり、練習をしたり、ライブをしたり、音源を制作したりすることこそがトリプルファイヤーの本質だ。とはいえ、これもあくまで一個人の意見でしかない。人様の認識までコントロールするほどのパワーを私は持っていない。

なかには、トリプルファイヤーってタモリ倶楽部の印象しかなかったけれど、音源を聴いてみたら思いのほかかっこよくてまんまとハマってしまった、と言ってくれる人もいる。こうした話を聞くと、トリプルファイヤーの音楽は人々が思っている以上にかっこいいのだと、自らアピールしたほうが良いような気がしてくる。

もはや自分のこと以外に興味が湧かなくなって久しい。とはいえ、根が含羞でできているので、自画自賛をするのは腰が引ける。他方で、俺が言わなかったら他に誰が言ってくれるの、と思わないわけでもない。それに「私の推しは私です」といった態度が当世風という感じもする。世の趨勢からすると、本人が太鼓判を押していないものを敢えて手に取る人は少ないと思われる。下手に謙遜すると「卑屈な態度はおやめなさい」と叱られてしまいそうな雰囲気も漂っている。

トリプルファイヤーは新作のリリースに向けて目下準備を進めている。1月にアルバムが完成したと宣言し、5月に新譜完成試聴会を開催したにもかかわらず、いつリリースされるのか明らかにされていないとは一体何事だと訝しむ方もいらっしゃるだろう。本当に申し訳ございません。善処して参ります。

いずれにせよ、トリプルファイヤーの来る新作について自分でプレゼンできたほうが良いのは間違いない。たとえば、これから先、インタビューを受ける機会があり、新しいアルバムの内容についてご説明いただけますかという質問をされたとして、どう答えたら良いのかをすこし考えてみたい。

今回のアルバムで目指したのは「踊っている音楽」です。世の中には「踊れる」と形容される音楽が存在します。いわゆるダンスミュージックです。こうした音楽を聴くと我々は体を動かさずにはいられません。どうしてでしょう。音楽そのものが踊っているからではないでしょうか。私たちは、音楽の動きを体を使って模倣しているのです。

ここから先は

3,203字
noteの仕様で自動更新(毎月1日)になっています。面白いと思っていただけたのならご継続いただけると幸いです。

日記と夢日記

¥500 / 月

月に4本の更新を目標としています。音楽、映画、ドラマ、本の感想、バンド活動のこと、身の回りのこと、考えたことなど。

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?