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【6/14オリックス戦◯など】奥川くんの涙と、宇宙規模の話。

あの日、急にマウンドを降りた奥川くんを見ながら、「急に実家に帰らなきゃいけなくなったとか、そんなんじゃない?」と、ヤクルトファンの先輩は言った。まさか、怪我なんて、そんなこと信じたくない、という風に。

でもそこから約2年、奥川くんは1軍のマウンドに戻らなかった。日を追うに連れ、怪我の状態が明らかになり、そして時間はどんどん過ぎていき、「奥川くんがいないヤクルト」で、戦う日が2年続いた。

自身も怪我とそして手術の経験があるたてさんは言った。「本人はもう、めちゃくちゃ辛かったと思います。手術をしなかった分、余計に辛かったと思う。いつ復帰できるか、その道筋がまったく見えないから」と。

私には想像できないしんどさが、あったはずだ。それが、奥川くんのヒロインの涙に現れた。

私はいつも、奥川くんを見るたびに、新世代のスターだなと思っていた。

ガツガツしているところを見せない、クールな新世代のスター。

でも、そんなクールな新世代のスターは、2年ぶりの勝利をつかんだお立ち台で、涙を流して言葉をつまらせた。

普段、ガツガツしているところを見せないからと行って、内に秘めたものがないわけじゃない。悔しさも、もどかしさも、苦しさも、めちゃくちゃあったはずだ。一人で泣いたときだってあったのかもしれない。

そりゃそうだよな、と、旧世代のスターでもなんでもない私は思う。そして新世代のスターが見せた涙に、こっちが涙する。(最近で一番泣いたことはと聞かれたらこの日のヒロインだと答えると思う。)

私たちはつい、「世代の差」に注目してしまう。「Z世代だからね」とわかったようなことを言う。あるいは「若い世代から学ぶことっていっぱいあるよね」と、実は上から目線になっているようなことを言ってしまう。でもいつも忘れちゃいけないなと思うのは、実は「世代の差」なんてそんなに大きいものなわけじゃなくて、そこにあるのは「年代の差」なのだ、ということだ。

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