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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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#広島戦

【広島戦4/12◯ 4/13●】調子の波は誰にもあるけれど、じたばたせずにぐっと。

これは、13日広島戦、8回裏に塩見が出塁し、盗塁も成功させ、てっぱちも四球を選び、一死1,2塁で4番村上くんと5番青木を迎えたものの、二者連続三振で終わったときの私の表情である。カワウソである。 たしかにまあ、そうだ。前日の試合でもなかなかクリーンナップが打てなくて、試合を決めてくれたのは5番に入ったケリーの押し出しと、6番長岡くんのタイムリーだった。 でもその形が、いつだってうまくいく、わけではない、もちろん。やっぱり、「打つべき人が打つべきところで打つ」というのは、チ

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野球が好きな雄平が、大好きだ。【11/1広島戦●】

「センター塩見に代わりまして、ライト、雄平」のコールが流れると、直前に花束を受け取っていた雄平は、花束をグローブに持ち替え、にこにことうれしそうに笑いながら、ライトの守備位置に向かって駆け出していった。 直後、球場には「長岡に代わりまして、ピッチャー、石川」のコールが響いた。ブルペンで投げていたカツオさんはお水を飲み、ライトの守備につく雄平と、遠くからグータッチを交わした。 試合の途中で引退セレモニーやっちゃうのか、優勝セレモニーがあるからかなあ、と、少しさみしく思ってし

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【10/29広島戦●】負けることから、学ぶこと。

外出先から帰ってきたら、サッカーの大会で遅くなるはずだった息子が、先に帰ってきていた。 「あれ!ごめん、早かったね!まだ帰ってこないかと思ってた!」と、言うと、「うん、一回戦で負けちゃってさ、すぐ帰ってきたの」と、しょぼん、としながら息子が言った。 「そっかそっか!また次がんばればいいよ!ごはんすぐ準備するね!」と、軽く話す私に、息子は続けた。 「去年は2位だったから、今年シード権あったの。けど、なんかチャンスで点取れなくて、何回もそうやってるうちに、ミスから向こうに1

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【10/21広島戦●】サンタナが7回表、ライトで祈っていたこと

長い長い、7回表の攻撃の時、目の前のサンタナは帽子を深くかぶり、何かを熱心につぶやいた。 サンタナが信じる神さまへの祈りだったのかもしれない。それとも、自身への喝だったのかもしれない。はたまた、お腹が空いたなあ、と、思ったのかもしれない。だけどその姿はとても真摯で、私はなんだかそこから、目が離せなかった。 長い長い守備が終わり、次の攻撃で、サンタナはソロホームランを打った。大きな大きな一本が、もう心が折れそうな私たちの方に向かって飛んできた。サンタナはゆっくりとダイヤモン

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【10/2・3広島戦◯◯】注射の怖さを忘れるくらい、広島の猛攻が怖い

【10/2 ◯】朝からこどもたちはプチ運動会で、そのまま給食を食べて帰るというので夫とごはんを食べにいき、そのあとワクチンの二回目接種を予定していた。 まだ時間があるのでコーヒーを飲みながら一気に前日のnoteを仕上げ、ついでに仕事を少し進める。たぶん2日くらいは副反応でぶっ倒れているはずなので、少しでも進めておこうと思ったのだ。(えらい。)(そもそもたまりすぎている。) コーヒーを飲みながらパソコンを開き、スマホでJ-SPORTSオンデマンドを見ていると(六本木のリッツ

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【10/1広島戦◯】オスナの力、青木の力、家族の力

東京はがっつり台風のど真ん中、試合なんてやれそうにもない天気だったけれど、朝から広島カープ堂林選手の妻さんであるところの枡田さんと仕事のやりとりをしていて、「広島は台風関係なく、31度でとっても暑いです!」とLINEが来ていた。なるほど、これは試合もあるな。と、私は気持ちの準備をする。 ちなみに枡田さんは堂林選手のことがまじで大好きで、このコラムではいつもだいたい堂林選手ののろけが入る。かわいすぎる。私も枡田さんと結婚したい。もう最近堂林を見るたびに嫉妬心が沸き起こる。

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【9/20広島戦△】秋の空に舞う花火を見上げながら

「僕の計算によると、このままのペースでいくとこの試合は7:45に終わるよ。」と、ラッキーセブンに息子が言う。「1イニング平均がこれくらいだからさ…」と、なにやら計算式を教えてくれる。その計算は母さんにはよくわからないけれどもとにかく、サクサクサクサクと試合は進んでいた。 「これ、19時半からのスイーツ半額タイムの前に試合が終わっちゃうんじゃにないの…」と、私はぶつぶつ言う。今日は久々の外野席だったので、外野スイーツを食べるのを楽しみにしてきたのだ。キャラメルモンブランパフェ

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【9/19広島戦◯】村上くんが見せてくれた100本分の希望

※こちらは有料設定ですが、村上くん100号記念に最後まで無料で読めます! あの日、あっというまに目の前に飛び込んできたホームランの軌道を、今もよく覚えている。 それは、ついこの間のことだったような気がする。でもそういえばあの日は神宮は満員で、(もちろん真っ赤に染まり)、そして安室ちゃんが引退する日で、新井さんが引退前の神宮最後の試合だった。ヤクルトたちは全員、安室ちゃんの曲を登場曲にして打席に立った。 去りゆく人がいる中、まだ若いけいじくんが投げ、ベテランの外野陣が後ろ

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【9/5広島戦●】うまくいかないことばかりに、思える日も。

朝からなんだか、うまくいかない日だった。 アンティークの器を夫が食洗機に入れたらしく、縁の部分が欠けてしまった。 息子がやってない宿題を、きつい言い方で咎めてしまった。 寝室につけるエアコンの工事の人に来てもらうはずが、在宅で仕事をしている夫とすれ違ったようで今日つけてもらうことができなかった。(困る。) 行きがけ、むすめに買ってと言われていたスタバの桃フラペチーノを買い忘れていた。(揉めた。) そして極めつけに、ヤクルトは負けた。(凹んだ。)

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【9/4広島戦●】背番号42のユニフォームを着て、そこに座って

ドームに向かうバスの中でむすめと一緒にスタメンを確認し、思わず「ぐっちスタメンや!」と小さくつぶやく。 打てますように、打てますように、と願う。そしてどうか、どうか怪我をしませんように、と。 一打席目、しょっぱなからぐっちの打席は、チャンスで回ってきた。2アウト満塁。「と、とくてんけんぐっち…」と、震える声でつぶやくのも、なんだか久々だ、と、つい思う。 2球目、良い当たりに見えた打球は、ライトフライになった。 どうか、どうか活躍してほしい、そこで存在感を示してほしい、

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【9/3広島戦◯】負の言葉はきっと正の言葉より届きやすいから

村上くんは一つ一つ、言葉を選ぶように話した。 「ファンのみなさんのチャンスで打てよという声が、自分の中に聞こえてましたし、なんとかチャンスで打とうと思って打席に立ちました」 「ジャイアンツ3連戦で一個も勝つことができず、すごく悔しかったですど、今日朝から塩見さんが、なんでも全力でやることが一番だと言っていたので、今日一日そういう気持ちでやりました。」 見ているこちらが思う以上に、あらゆる言葉は選手たちに届いているのだと思う。そしてこちらが思う以上に、選手たちだってもちろ

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【8/21広島戦◯】元山くんのウインクと、さすがのエイオキキャップ

でっかいバームクーヘンのような、チョコフォンデュのような、なんだか謎の(でもえらく原始的のようにも見える)道具をただ眺めながら、「これはもうコールドで良いのでは…」と、思っていた。 球場には大きな水たまりがいくつもでき、バームクーヘン状のモップらしきものと控えめサイズのスポンジでは、いつまでたってもその水たまりは埋まらないように見えた。 やることのなくなった中継では、ひたすら客席とベンチの様子を移していた。元山くんがこちらを向いてウインクしている。ちょっと、元山くんがママ

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【8/20広島戦●】「私が痛いと言う時には本当に痛いのよ」と、加納クレタは言う。

ゲスト解説の黒田さんが言った。「田口が菊池に打たれた1本は、田口にとってかなりショックな1本だったと思います。フルカウントからならまだしも、ノーボール2ストライクからの1本でしたから。」と。 そして続けた。「野手は『切り替えて!』と言ってくれるんですが、ああいった1本は、なかなか切り替えられるものじゃないんです」と。 黒田さんの言うとおり、そこまで好投を続けていた田口はその1本のショックをひきずるように、そのあとヒットを打たれ続け、野手のミスも重なり、1死も取れないままマ

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【7/10広島戦●】うまくいく日もいかない日もあるけれど

ノーアウト満塁の打席で慎吾はサードゴロを打ち本塁アウトになり、うっちーと塩見が三振し、無得点のまま8回裏を終えた。 「まあ、いつも同じようにうまくいくわけじゃないよね」と、なかば自分に言い聞かせるように、私はむすめに話しかける。昨日の主役二人が、今日は同じような場面で打てない、ということだってある。 うっちーの言う通り、「代打であれだけ結果を出せることが当たり前なわけじゃない」のだ。 野球はほんとうに毎日毎日試合があって、毎日毎日結果が変わる。昨日できたことが、今日でき

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