マガジンのカバー画像

東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
¥380 / 月 初月無料
運営しているクリエイター

2022年3月の記事一覧

【3/30巨人戦●】電車を見つめる3歳と、ヤクルトを眺める38歳と

実家でおじいちゃんの四十九日のおつとめを終え、一息ついていた。なんとなく、まだ帰ってほしくなさそうなお父さんが、「かつおのたたきあるで」と言うので、お庭からおねぎをとってきて細く切り、それをどっさり乗せて食べることにした。「ローストビーフもあるで」と言うものだから、それもサラダにし、「ビールもあるで」と言うものだからビールをグラスに注いでいたら、もう試合は始まっていた。 慌ててテレビをつけると、解説のたてさんが、カツオさんを絶賛しているところだった。 これはいいものを聴け

¥100

【3/29巨人戦●】 エラーのあとの、1本のヒットと、未来の希望

思うに巨人戦というのはいつも、なにかと意味のある局面で訪れる。「ここで勝てば順位が上がる」とか、「優勝に近づく」とか、はたまた「感染症で主力が一気に脱落したピンチ」とか、「16連敗の真っ只中」とか。(…いやそれは、全チームに当たる。) 今日は、「カイマクサンレンショウという見たこともないものを見て勢いづいたあとの神宮開幕戦」、である。

¥100

【3/27阪神戦◯】 6回裏、なっしーは流れを引き渡さなかった。

カイマクサンレンショウ、なんて初めてのことだから戸惑ってしまう。もちろん、勝って兜の緒を締めよ、である。ゆだんたいてきおでんたいやき、である。どちらもかの有名なつば・くろう氏の言葉だっただろうか。 息子は塾へ、むすめはもうすぐ近所で行われる「大縄大会」の練習に出かけていった。おばあさんは川へ洗濯に、おじいさんは山へ芝刈りに、くらい聞き慣れた話だ。ついでに夫は、コーチをしているサッカーに出かけた。私はようやく一人になった部屋で、ソファに座ってテレビをつける。…いや、これ、なん

¥100

【3/26阪神戦◯】ナイターからの、デーゲーム

「あーーーーー昨日楽しかった」と、言いながら息子がベッドから起き上がる。この人は、えらい小さい頃から、寝起きだけはほんとうにめちゃくちゃ良い。ずっと起きていたのかと思うほど、当たり前みたいに急に話し出す。「むにゃむにゃおはよう…」みたいなことが一切、ない。 「起きたんかいな、あーびっくりした」と、言いながら私はホテルの部屋のカーテンを開ける。小さな部屋の窓はすりガラスになっていて、カーテンをあけても外の景色はそんなに見えない。それでも朝の光が差し込むとなんだかうれしくなる。

¥100

【3/25阪神戦◯】満員の球場、ファンとの交流、息子の成長

「京セラ、オールスターで来たとき以来じゃない!?」と、前を歩いていた息子がこちらを振り返り、にこにこと言う。「あーーーーーーほんと楽しみ!!!!!」と、何度も何度も言う。 あっちいったりこっちいったりの日程で、子どもたちは疲れているはずなのに、スーツケースをころころ転がしながら、しっかり私についてきてくれる。いや、地図を確認して「ママすぐ道間違うから!」とか言いながら、私の前を歩いている。ほんとうに、ほんとうに大きくなったな、と、改めて思う。 先月亡くなったおじいちゃんの

¥100

【オープン戦 3/11〜13 ソフトバンク戦】できればプレッシャーよりも多く、自信と誇りを持って

ふと気づくと、スコアボードの上でチャンピオンフラッグが、神宮の風ではためいていた。 外野から見える選手の腕には、小さくチャンピオン・エンブレムが光る。 ヤクルトが優勝を決めた日、そして日本一を決めた日。それはほんとうに、ついこの間のような気がする。今年はオフシーズンが短かったから、ここに来るのも例年よりは、早い気がする。 それでもオフシーズンを挟むと、この球場も、そしてここに集う選手たちも、やっぱりとても、新鮮に映る。久々にこの美しい球場で飲むビールは、やっぱり世界一お

¥100