マガジンのカバー画像

東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
¥380 / 月 初月無料
運営しているクリエイター

2021年7月の記事一覧

【7/14巨人戦◯】前半戦を終えて少し、一息つきながら

昨日あれだけ打っちゃったからね…と、なんとなく心に保険をかけながら、テレビをつける。とにかく、浮かれてはいけない浮かれてはいけないと、いつも言い聞かせるようにして生きている。いつのまにそんなくせがついたのかはよくわからないけれれど。 と、思っていたらヤクルトは、今日も元気に1回表から4点をとった。村上くんがサードゴロの間に1点を取った後に、サンタナが走者一掃のタイムリーツーベースを打ったのである。出た、「走者一掃」。私の一番好きな四文字熟語である。なんて甘美な響きだろうか。

¥100

【7/13巨人戦◯】こんな日に未来のスターは生まれるのかもしれない

試合のあとによく、ああこれ朝起きたら夢になってないかな…と、思いながら、寝る。もう寝てなかったことにしてしまいたい試合は、今までにたくさんあった。 でも今日は、違う。「これは夢なのか…?」と思いながら試合を見て、いや夢でありませんように…と、願っている。

¥100

【7/10広島戦●】うまくいく日もいかない日もあるけれど

ノーアウト満塁の打席で慎吾はサードゴロを打ち本塁アウトになり、うっちーと塩見が三振し、無得点のまま8回裏を終えた。 「まあ、いつも同じようにうまくいくわけじゃないよね」と、なかば自分に言い聞かせるように、私はむすめに話しかける。昨日の主役二人が、今日は同じような場面で打てない、ということだってある。 うっちーの言う通り、「代打であれだけ結果を出せることが当たり前なわけじゃない」のだ。 野球はほんとうに毎日毎日試合があって、毎日毎日結果が変わる。昨日できたことが、今日でき

¥100

【7/9広島戦◯】絶望を希望に変える、その姿を

ほしくんが投げたボールは、あっというまにスタンドに吸い込まれていった。 昨日の、今日だ。もうこの世から8回なんてなくなってしまえばいい、と、私はもうよくわからないことを思う。ビール(にせもの)は、ぬるくなった上に、雨に濡れて何の飲み物かもわからなくなっていた。ぜんぜんおいしくないそれを、やるせない気持ちで一気に飲み干す。 ここまでほしくんが、すばらしい投球でチームを救うところを何度か見てきた。少しずつ少しずつ、期待も信頼も大きくなっていたように感じていた。その上で、今日の

¥100

【7/8(木)阪神戦●】シミノボが見せた悔し涙、てっぱちが見せた意地、大樹くんが決めたバント、8球粘った塩見の打席

中継ぎは「抑えて当たり前」なんですもんね、辛いポジションですよね。という竹下アナウンサーの問いかけに、解説の野村さんは答えた。「こんなこと言っちゃだめですが、僕にはできないです。中継ぎが抑えたときにスポーツニュースに取り上げられることはほとんどない。取り上げられれるのは打たれたときだけなんですよね。ほんとうに大変なポジションです」と。 ほんとうに、その通りだ。中継ぎ陣がお立ち台に立つことは、それこそ初勝利の時くらいしかない。 記憶に残るのは、シミノボがサクサク抑えた試合じ

¥100

【7/7阪神戦◯】七夕の「奇跡」

言いたかったから奇跡と言いましたけど、もちろんこれは奇跡でもなんでもなく、若燕たちの努力の結晶である。 なかなか勝ち越しの1点が取れない、相手の好守備に阻まれまくる(サンズも佐藤もすごかった)、その中で掴み取ったのが、若手たちがつないだ1点だ。 4-4の同点で迎えた8回表、スタメンのチャンスを掴んだたいせいくんがヒットで出塁し、コータローがバントで送り、大樹くんが勝ち越しのタイムリーを打った。チームメイトからXポーズで迎えられた大樹くんは、満面の笑みを見せた。(かわいい。

¥100

【7/6阪神戦●】一つの試合も、ペナントも、長距離走だ

「あーーーーーー今日の試合たのしみ!!!!」と、半ば叫びながら、息子はごきげんに学校へ行った。 久々に子供たちと三人で観戦。お天気もなんとか持ちそうだし、と、私は私でピクニック気分でサンドイッチまで作ってしまった。もちろん、ローストチキン(胸肉)のサンドイッチである。野菜、ゆで卵、カッテージチーズ、塩漬けきゅうりをのせて、お塩少々とスイートチリソースをかけてカンパーニュで挟む。これがもう、ほんとうに、おいしい。にやにやしながらバッグに詰める。 球場につき、ポテト祭りのポテ

¥100

【7/4中日戦△】101回目のマウンドが苦いものになっても

101回目のマウンドが、どんなマウンドになるかは、100回目にはわからない。そもそも、それがいつやってくるかさえ、わからないのだ。 その「いつ自分がマウンドに立つのかわからない」というところが、中継ぎピッチャーの大変なところだよな、と、思う。その日の試合の流れによって、登板の有無も、仕事の内容も変わってくる。 今日訪れた101回目のマウンドで、シミノボは先頭打者にヒットを許し、続くビシエドに同点の2ランを打たれた。今や誰もが待ち望むカツオさんの一勝も、そこで消えてしまった

¥100

【7/3中日戦◯】ぐっちのサヨナラの日に激走してくれた古賀くんを

何度も言いますが私は、あの2018年、ぐっちが延長サヨナラヒットを打った時に、一塁から激走した古賀くんを見た日からずっと、ひたすらに古賀くんを応援している。 あの激走があったから、長い長い試合に勝つことができたのだ。あれは、クライマックスシリーズ出場を決めた2018年を象徴するような試合だったな、と、今振り返るとそう思う。 その古賀くんが今年はまた、さらにぐんと成長した姿を見せてくれるところがほんとうにうれしい。 そういえば一昨年の松山では、松本くんとコサックダンスして

¥100

【7/2中日戦◯】マウンドは孤独な場所だからこそ、それぞれが良き影響を与え合えるように

福留さんを三振に仕留めたほしくんは、さっと、マウンドを降りてベンチへ向かった。3アウト目を取ったときに、ピッチャーとキャッチャーが同時にベンチに戻る体勢になるところがものすごく好きだ。同じ動きで画面右にはけていくその感じ、ほんと、もはや芸術美だと私は思う。GIFにして永遠に見ていたい。誰か作ってほしい。(できないことは人頼み) ◇ たけしの勝ち越しタイムリーと、シミノボ初勝利の余韻はまだ残っている。残っているのだけれど、その翌日もすぐに試合はやってくる。そう、勝っても負け

¥100

【7/1阪神戦◯】シミノボの、100回目の正直

ドリカムの「何度でも」という歌が大好きだ。「10000回だめで、へとへとになっても、10001回目は来る」 ほんとうに、そのとおりだ、と思う。 99回、勝利を手にできなかった清水くんは、今日100回目の登板で初めての一勝を手にした。 その一勝を手にするまでに、99回分の登板があった。その中には、1イニングを投げきれず、途中でマウンドを降りる日もあった。悔しさが涙になってにじむ日だってあった。打たれた日があって、負けがついた試合があった。 だけどその99回諦めなかった人

¥100

【6/30阪神戦△】 一つの勝敗には、もっといろんな要素が絡み合っている

栗さん(栗山監督)は、試合の中に「あの場面が勝敗を分けた」といったような場面はない、と言う。 私はこの栗さんの考えがすごく好きだ。もちろん、その1点がなければ勝っていた(かもしれない)、その1点を取っていたら勝っていた(かもしれない)、という点はたしかに存在する。勝利投手がいて、敗戦投手がいて、勝利打点というものがあるわけで、それはたしかに「勝敗を決める」場面では、ある。 だけど、一つの試合には、それまでにもっといろんな場面がある。9イニング分、打者9人分、その一打席一打

¥100