お金の神様 虫鹿恭正「松下幸之助さんの「ダム式経営」のススメ」
松下幸之助さんの提唱する「ダム式経営」とは?
今日は、Panasonic(松下電器)を創業した松下幸之助さんのダム式経営の話をしたいと思います。私がお金の勉強を始めたのは2000年です。最初に読み始めたのが経営の神様・松下幸之助さんの本でした。中でも衝撃を受けたのが「ダム式経営」という考え方でした。
『ダムがなければ少し天候が狂っただけで洪水になったり干ばつになったりもする。しかし、ダムを作ればせき止め、貯めた水をいつでも有効に使うことができる。それは人間の知恵の所産である経営にもダムがなければならない。経営者はダム式経営、つまり、余裕のある経営をするように努めなければならない。』
松下幸之助さんは京都の中小企業経営者が集まった講演会で「ダム式経営」への薦めを説いた。
「ダム式経営」の話を聞いた参加者の質問と衝撃的な答え
この「ダム式経営」の話が終わった時に参加していた経営者が質問しました。『今、ダム式経営が必要だと仰られましたが、松下さんのように成功されて余裕がある会社ではそれが可能だが、私どものような中小企業には、なかなか余裕がなくて難しい。どうしたらダムを作ることができるのか教えてください。』
その質問に対して、松下幸之助さんは次のように答えました。『そうですね、簡単には答えられませんが、まず大切なことは「ダム式経営」をやろうと思うことです。』
この講演会に後に世界的な企業になった京セラの創業者の稲盛和夫さんも参加していました。当時、京セラは創業からまだ4、5年程度で経営が安定せずに悩みも抱えていた時にこの松下幸之助さんの答えに稲盛和夫さんは「身の震えるような感激と衝撃を受けた」と振り返っています。
講演会に参加していた経営者の多くは「そんな抽象論の話」ではなくて、「具体的なやり方を教えて欲しいんだ」という声が上がりました。だから、抽象的なメッセージから本質を引き出す力が稲盛さんにはあったのだと私は思います。
「ダム式経営」を聞いた私の想い
私もこの「ダム式経営」の話を聞いた時に衝撃を受けました。「なるほど!ダムを作るという志を持ち、覚悟を決めることが大切ということは大変勉強になりました。」
私がやっている事業は、京セラの100万分の1にもならないくらいの小さいですが、自分が持っている器なりのダムを作ろうと思って事業をしています。
お金の勉強を始めてから20年経っていますが、この20年間に多くのピンチやターニングポイントがありました。お金のダムを作っていたからこそ乗り越えられたことが多くあります。さらに言えば、ピンチをチャンスにできるくらいのこともありました。まずは皆さんのできる器からで大丈夫です。人生のために「貯金のダム」を作ることをぜひ志して欲しいということでこの話をさせて頂きました。