ロシアの社会教育と博物館―『社会教育叢書 第三十輯』

昭和9年の『社会教育叢書 第三十輯』(文部省)をみていると、社会教育=労働者教育・成人教育という意味あいが強いことがよくわかる。

各国の社会教育が紹介されるなかで、「図書館、美術館、博物館及び劇場」というように節を設けて博物館が紹介されているのはロシアだった。

どんな風に紹介されているのか、少しみてみよう。

圖書館、美術館、博物館及び劇場は通常民衆文化生活においてなす役割ばかりでなく、ロシヤにおいては組織化された教育活動の上に著しい役割を演ずる。
(中略)
モスカウやレニングラードの美術館や博物館に行けば必ず館の案内人や教師に引率された労働者の群に出逢ふ。此等の参観は時には教育中心(educational centres)のプログラムの一部であり、時には労働組合がその会員のために行ふものである。一九二八年にはモスカウの博物館は三百五十萬の観覧者があり、トリエティアコフ美術館(Trietiakov Gallery)(全部ロシヤ藝術を蔵してゐる。)だけでも二十五萬以上の観覧者があった。これ等は、主に、團體観覧者である。


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