メタ展示の可能性―ミヒャエル・フェーアの「アイロニック・ミュージアム」

展示とは何か?ということを理解することで、展示の見え方が変わるのではないか。講座なんかでは扱ったことがあるのだけど、展示でそれをやったことはない。

展示とは何かを展示するメタ展示。

ミヒャエル・フェーアは「アイロニック・ミュージアム」なる概念を提唱して、次のように説明する。

「それは展示されているオブジェに対する「別の解釈、別のバージョンを支持するようなミュージアム」であり、さまざまなオブジェをひとつの全体像に統合するより、オブジェを「分散させ孤立させる技巧を実践」することで、複数の意味を可能にするミュージアムのことである」
(竹沢尚一郎『ミュージアムと負の遺産-戦争・公害・疾病・災害・人類の負の記憶をどう展示するか』p22、


関連して、スーザン・A・クレインがミュヒャエル・フェーアの行った展示を紹介している。それは、作品をすべて収蔵庫へ戻した後、空っぽになった展示室へ、来館者が作品を運ぶというようなものであった。美術館における展示とは何かを展示で問うメタ展示で、「ミュージアムは、主観性と客観性が衝突する唯一の場ではないが、おそらく、とりわけそれを喚起する場でもある」ことを検証したものだという。
(「ミュージアムと記憶について」スーザン・A・クレイン『ミュージアムと記憶-知識の集積/展示の構造学』P15-16, 2009)


このような展示で展示(あるいは博物館)を批判するという態度は、そもそも「展示」や「博物館」の概念そのものが来館者の側に存在していないと成立しにくいと言える。

メタ展示、どのようにつくると、あまり博物館に興味がない人にも面白いかなぁ。

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